秋葉原日記 (ライブラリ)

「東日本大震災と原子力発電」

 「原子力構造機器の材料、設計、施工、検査、維持に関する講習会」が11月29・30の両日にわたって神田駿河台の化学会館ホールで開催された。
 この講習会は日本溶接協会原子力研究委員会の主催によるもので、材料メーカーからプラントのファブリケーターなどのエンジニアを主な対象にしたもので、同委員会では過去40年にわたってこの講習会を開催してきていて、原子力プラントの溶接に関わる技術の発展に大きく資するところとなっている。
 今年の講習会では、昨日30日には原子力安全基盤機構安部浩氏による「東日本大震災と原子力発電」と題する特別講演が行われたが、東日本大震災を踏まえたものとして時節柄注目された。
 講演で安部氏は、福島第一、第二、東通、女川、東海第二の各原子力発電所について被災状況を詳しく報告していたほか、地震と津波評価についての教訓や国際社会への提言に至るまで言及していた。
 とくに福島第一については、地震による外部電源の喪失後、直ちに起動した非常用発電機も津波により停止となり、やがて炉心冷却システムが停止し、消火系からの注水を行ったものの、次第に燃料が露出し炉心溶融が始まるとととも水素が発生したと経過を報告、これが放射能の放出事故となったと述べていた。
 また、福島第一では海水ポンプに防護壁等が設けられていなく、直接津波をかぶったことによってポンプが機能しなかったとし、これに対し海水ポンプが建屋内に収納されていた福島第二では全損が避けられ、修復が可能となったと指摘していた。
 一方、このたびの東日本大震災における地震及び津波の評価に関する教訓として、女川が敷地高さが高く設定されていたところから海水ポンプ系に対する津波対策が適切であったこと、福島第二でも海水ポンプ系に対する津波対策が講じられていたこと、翻って福島第一では講じた津波対策を超える冠水となり海水ポンプ系が喪失したことを取り上げ、今後、津波対策のあり方には検討の余地が大きいことを踏まえ、深層防護を確保することの重要性が認識されたとしていた。
 このあたりの表現はなかなかストレートに理解するのが困難だが、要するに、福島第一は想定を超える巨大な地震と津波ではあったものの、防護施設も満足ではなかったということなのだろう、そのように受け止められた。

shinsaitogenshirryoku.jpg

バックナンバーへ

お勧めの書籍