秋葉原日記 (ライブラリ)

摩擦攪拌接合

 昨日は、溶接接合工学振興会主催による「摩擦攪拌接合の現状と今後の展望」と題するセミナーを聴講した。
 摩擦攪拌接合(Fiction Stir Welding:FSW)とは、1991年にTWI(英国溶接研究所)によって開発されたまったく新しい発想によって生み出された画期的な接合法で、摩擦攪拌による塑性流動を応用した固相接合法であるところから溶融溶接法と違って接合時の変形が小さく、接合欠陥が少ないなどの特徴を有しているところから急速に実用化が進み、初めアルミニウム合金の接合法として鉄道車両や自動車、航空機などへ適用され、さらに今日では船舶や橋梁などへと応用が拡大している。
 FSWに対する関心は非常に強いもののようで、この日のセミナーも満員の盛況ぶりだったが、この日のセミナーでは、こうしたFSWについて、接合法の基礎や応用の状況から今後の展望に至るまでFSWの全体像をとらえる充実した内容で、それもFSWに関する我が国第一線トップの研究者、技術者による講演だったからきわめて密度の濃いものとなっていた。
 このFSWとは自分も印象深い体験があって、およそ20年前というから開発直後ということになるが、そのプロセスを我が国にいち早く導入して実験を開始した現場に立ち会ったことがあるのだが、あの当時、実験内容を見て接合部の冶金的すばらしに感嘆するとともに、果たしてどのような応用が想定できるのか楽しみにも思ったものだった。
 そのFSWがわずか20年で画期的接合法として世界に普及していることは新鮮な驚きでだが、それにしても、溶接は成熟しているなどといわれている今日の状況の中で、従来には考えられなかった新しい接合法が発明され、実用化が図られているというのは大変頼もしいことであり、同時に、その誕生から実用化までの全体を間近にしてこられたというのは率直な喜びでもあった。

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(セミナーの模様)

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