秋葉原日記 (ライブラリ)

ありし日の佐藤邦彦先生

 大阪大学名誉教授佐藤邦彦先生が逝去された。享年86歳だった。
 ここに1枚の写真がある。2004年5月、佐藤先生傘寿の祝賀会の折のスナップで、佐藤先生を中央に、左が佐藤研を継いだ豊田政男教授で、右が佐藤研第1回卒業生である松井繁朋氏(元川崎重工業)である。
 佐藤先生には折に触れて直接謦咳に接する機会があったのだが、相手が自分だからということもあろうが研究のことよりも教育について熱弁をふるわれることの方が多かった。
 とにかく毅然と襟を正された先生で、時にきついジョークを放ってまわりをあわてさせていたが、「役に立つ教育とは自分自身で考えるということを教育することではないか」と話されていた。
 佐藤先生のご功績で最も大きいことは、やはり幾多の人材を育成されたことであろう。佐藤研が輩出した逸材が溶接界でとりわけ多いことに気づかされる。
 この点、自身の研究に重心を置く大学教授が多いように見受けられるこの頃とは画然とした違いがある。
 この傘寿祝賀会でも、佐藤研と豊田研の同窓生が集まって盛大なもので、その顔ぶれのそうそうたることに驚かされた記憶がある。
 席上、佐藤先生は鉄道が趣味であることを明かされ、全線踏破が夢であると話されていたが、果たしてその夢は達成されたものかどうか、この頃はご無沙汰続きで、ついぞその結果をお聞きする機会を逸してしまったことは悔しい。

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