秋葉原日記 (ライブラリ)

全国溶接コンクール

 全国溶接コンクールと呼ばれて溶接関係者の間で親しまれている第57回全国溶接技術競技会が8日土曜日9日日曜日と岡山県倉敷市で開催された。岡山県で開催されるのは30年ぶり。
 溶接技術日本一を決める大会とあって出場したのは全国都道府県の予選を勝ち抜いてきた代表で、溶接方法によって2つの部門があり、被覆アーク溶接の部に56人、炭酸ガスアーク溶接の部に56人の合計112人。2部門に同時に出場することはできない。
 8日の開会式、選手交流会に続いて、競技は9日三菱自動車工業水島製作所で行われ、出場選手は約10人を1班とし6班に別れて進められた。1班目の集合・点呼が8時25分で、6班目の終了が16時45分だったから、8時間を超す長丁場だった。
 競技の進行を第1班に従って見ていた。集合・点呼の後競技会場へ誘導され、ここで工具の点検や競技材の支給、開先加工と進む。定められた工具以外競技場へは持ち込めないし、開先加工は溶接の良否を左右する大事な前加工であり、いずれもおろそかにはできない。
 いよいよ競技場へ誘導され、指定の競技ブースへ入る。9時55分競技開始の笛が鳴った。競技時間は55分である。
 競技課題は被覆アーク溶接(通称手溶接)も炭酸ガスアーク溶接(通称半自動溶接)も同じで、板厚と溶接姿勢の違う2つの課題から構成されている。薄板が立向溶接で板厚は4.5ミリ。中板は横向溶接で板厚は9ミリ。どちらの課題も2枚の板をつなぐ突き合わせ溶接だが、中板では中央部に邪魔板があり、スカラップをくぐった棒継ぎをしなければならない。なお、手溶接と半自動溶接とでは板の大きさが多少違う。
 競技開始の笛と当時に大半の選手が行うのは2枚の板を仮付けするタック溶接、あるいは練習材による溶接。練習材は持ち込み自由で、ほとんど全員が本番と同様のものを持ち込んでおり、練習材によって溶接機や溶接材料のチェックや溶接状況を確認する。また、平常心にするための慣らし溶接でもある。ただし、練習に時間を食われてしまう恐れはある。
 2つの課題はどちらから始めてもよい。これは第1班に限ったことだが、手溶接では中板から取りかかった選手が8人で薄板は2人だった。これが半自動溶接となると薄板と中板が5人ずつの半々となっていた。得意を先にやるか、難しい方を後にするかというようなことだろう。
 出場しているのは溶接のプロばかり。それも予選にあたる厳しい都道府県大会を勝ち抜いてきた腕自慢ばかり。顔ぶれを見ると、溶接経験10年を超し脂ののりきってきたような30代を中心に20代の若手や40代、50代のベテランも加わっている。
 しかし、実力日本一を決めるとあって全国溶接コンクールには独特の雰囲気がある。普段仕事で培ってきた選手たちにも緊張の強いことが感じられる。いずれ劣らぬ技量の持ち主のこと、いかに落ち着き平常心となって日頃の技量を発揮できるかが大きなポイントとなりそうだった。
 55分の制限時間のうちで、最も早い選手では45分で作品を提出していた。競技を終えた直後では顔を紅潮させ、汗だくになっていた。この選手に早速出来具合を伺ったら開口一番「棒継ぎを失敗した。溶け込みが足りなかったようだ」といいながらも競技を終えてほっとした様子だった。
 審査は、外観試験、X線試験、曲げ試験によるほか、不安全行為や違反行為による減点などが加味されて厳正に行われ、来年1月に成績が発表される。

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(審査委員の立ち会いのもと進められている競技の模様)

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