秋葉原日記 (ライブラリ)

村井重俊『街道をついてゆく』

 25年間にわたって週刊朝日に連載された司馬遼太郎の『街道をゆく』。本書はその担当者の手記で、著者は「司馬番」として最後の記者だった。
 『街道をゆく』の取材にも同行していて、旅の模様から取材の様子や司馬の横顔などとエピソードが豊富で、『街道をゆく』の舞台がよみがえってくるようだった。
 東大阪の自宅に伺うと、いつでも連載2、3回分の原稿が用意されていたという。司馬は締切を守らなかったことはないらしい。その際、司馬は担当者を相手に日本史、世界史、政局、国際問題、事件などと問わず語りに話してくれて話題は豊富だったようだ。1度の訪問で2時間くらいにも及んだということだから、これは担当者冥利に尽きることではなはだうらやましい。
 現地取材はいつでも大旅行となったらしい。担当者のみならず、司馬はいつも夫人の福田みどりさんを同伴していたし、現地で案内をつとめてくれる人、ときには他社の編集者なども混じって総勢10数人になるようなことだったようだ。
 司馬は、取材旅行に出る前に十分に下調べもし予習をしていたようだ。メモは豊富でノートにびっしり書き込んでいたというし、得意のスケッチも描いていたようだ。
 著者は、31歳の時に司馬の担当となり、司馬が亡くなるまでの6年間に及んだ。歴代5人の担当者の最後となったわけだが、なかなか純情で硬骨漢でもあったようで、司馬とのやりとりが巧まざるユーモアとなっている。
 『街道をゆく』は単行本となって43巻を数えたが、自分もその幾つかは読んでいて、そこには司馬の史観や考え方がよく出ていたからとても興味深いものだった。
 また、「神田界隈」では秋葉原近くまで足を運んでいて、当方がひいきにしているそば屋に寄ったエピソードなど我が意を得たようなものだし、小社の雑誌から書籍まで様々に手がけてくれている精興社という印刷会社を詳しく取り上げてくれていたのもうれしいものだった。
(朝日文庫)

kaidowotuiteyuku.jpg

   

バックナンバーへ

お勧めの書籍