秋葉原日記 (ライブラリ)

被災地の鉄道

 被災地三陸地方を走っていて驚くことは鉄道の被害もまた甚大だということ。多くの路線で駅舎や線路が流失、壊滅的な打撃を受けた線区も少なくない。
 三陸沿岸部を岩手県から宮城県にかけて走る路線は、北から三陸鉄道北リアス線、山田線、三陸鉄道南リアス線、大船渡線、気仙沼線である。
 このうち全線で正常に運行されている区間は一つもなく、全区間合計の8割強の276.8キロで不通となっているし、流失した駅は23にも上る。
 北リアス線の宮古‐田老間では地震発生からわずか12日後には復旧させた。比較的高台を走っていた線区だが、津波が到達した部分でも懸命の作業で運転再開にこぎ着けた。5月に訪れた際には「復興支援列車」が運行され、田老駅には生き生きとした花の鉢が飾られていたし、このたびの再訪問でも風鈴が軽やかになっていて、鉄道関係者、地元住民たちの三陸鉄道に対する愛情がひしひしと感じられた。しかし、この北リアス線も全体の4割近い島越‐陸中野田間で現在も不通のままで、島越で駅舎が流失するなど被害が大きかったところから再開のめどは立っていないようだ。
 山田線の宮古‐釜石間では現在も不通のままだ。宮古駅に近い閉伊川鉄橋は橋桁が流失していたし、沿線の大半で線路が流失、陸中山田、織笠、大槌、鵜住居では駅舎が流失、鉄道の痕跡すら見つけられないような状況だった。
 南リアス線は釜石‐盛間で全線が不通のままである。線路の流失が甚だしかった。 大船渡線の被害も大きくて、全線12駅中実に竹駒、陸前高田、脇ノ沢、小友、細浦、大船渡の6駅で駅舎が流失したほか、線路がずたずたに破壊や流失していて、線路跡を見つけるのが困難な区間も少なくなかった。全線で現在も不通のままである。
 かろうじて駅舎流失という被害は免れた盛駅は、南リアス線と大船渡線の接続駅だが、両線とも不通ながら駅業務は指定券の販売などの取り扱いを行っていた。駅員によると、「(復興計画自体がまとまらないと)どこに線路を引き直すのかすら決められないから復旧はめどすら立っていない」と悲観的な様子だった。
 5月の時点では下船渡付近の高台に地震で停車したままの列車が放置されていたが、このたびの訪問ではすでに列車は搬送されていた。
 気仙沼駅の隣駅である鹿折唐桑では駅前に330トンもある大型巻き網漁船が打ち上げられたままになっていた。気仙沼港から500メートルも流されてきたということで、いっそモニュメントにしようという話も出ているらしい。
 鉄道は、産業の大動脈だし、地元住民の貴重な生活路線でもある。大震災からの復興のためにもいち早い復旧が肝要だ。
 しかし、ずたずたに破壊された鉄道線路を見ていると、被害が大きくてどのように復旧するのか、はた目にも呆然としてくる。
 とくに心配されることは、このあたりの鉄道はおしなべて赤字路線であって、このまま廃線ということにならないかということ。全国では災害に遭遇したまま廃線に追いやられた路線が少なくないから、大いに懸念されるところだ。

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(線路は赤さびて草がぼうぼうと生え、まるで廃線跡のようだ=大船渡‐下船渡間で)

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