このたびの北海道出張では、登別からの帰途小樽へ向かった。
もっとも、登別から小樽へといえば、苫小牧から札幌へと室蘭本線、千歳線、函館本線を経由するのがごく一般的だろうが、このたびは登別からまず室蘭本線でいったん長万部へ戻り、長万部からは函館本線で小樽へと向かった。
かつて、千歳線が開通するまでは、函館から小樽や札幌へと向かうには、函館本線をどこまでも利用するしかなかったわけで、現在のように千歳線が開通し室蘭本線と函館本線が短絡できるようになって現行のルートがメインとなったもので、倶知安を経由する函館本線ルートはローカル線になってしまった。
しかし、この函館本線を経由するルートは魅力もいっぱいなのである。長万部、熱郛、ニセコ、比羅夫、倶知安などといかにも北海道の風情にあふれた駅名が続くし、羊蹄山とニセコアンヌプリを仰ぎ見ながら進む高原線だし、ローカル線の情緒たっぷりの路線なのである。
登別温泉のホテルを早朝に出て登別6時57分発長万部行き普通列車に乗車。列車は2両のワンマン。
しばらく左窓に太平洋を見ながらのんびり進む。海は風が強く荒れている。しかし、時々晴れ間ものぞくようになってきた。昨日までは強い雨だったからこれは幸先が良い。
東室蘭を経て伊達紋別に至って右窓に有珠山、昭和新山が見えてきた。
長万部8時52分着。ここで函館本線に乗り換え。始発列車が到着した同じホームのすぐ向かいにすでに停まっていた。長万部9時8分発、1両ワンマンディーゼル。
函館本線とはいいながら、長万部‐小樽間はまったくローカル線並みで、運転本数も少なく、通しの運行はわずかに1日7本しかない。
乗客は1ボックスに1人づつほどで、それも地元の人は少なく、大半が旅行客、とくに鉄道ファンらしきものが多かった。しかも、中高年夫婦連れが少なくなくて、このところの鉄道旅行の様相を反映しているようだった。
函館本線に入ったら雲が厚くなってきて、車窓に楽しみが減ってしまった。熱郛で峠を登り切ったのに羊蹄山は見えないし、そればかりかついに雨が降ってきて、ニセコ、比羅夫、倶知安と通りながらついに楽しみにしていた羊蹄山もアンヌプリもその山容を垣間見ることすらできない。
倶知安10時55分着、11時00分発とここまでは定刻。ところが、倶知安を出て小沢あたりになって「強風と大雨のため徐行運転します」とのアナウンス。
しかも、然別に40分遅れて12時20分に着いたら「大雨のためこの列車はここで運転を見合わせます」とのこと。降雨量が基準値を超してしまったらしい。ホーム反対側には長万部行きの列車が同じように身動きとれず停車している。
しばらく立ち往生したまま待機していたが結局運転中止ということになり、代行バスで小樽まで運んでくれるとのこと。
然別は小樽まで約30キロの地点で、手配した代行バスが到着したのが13時40分。この時点で乗客は31人だった。それぞれに事情はあるようだったが、全員おとなしくバスに乗った。
結局小樽に着いたのは14時30分。当初の2時間遅れだった。
小樽からは積丹岬、神威岬と積丹半島を巡る計画だったが、この時刻からでは強行になるし、雨も降り続いていて岬周辺はもっと悪天候になっているだろうからということで旅程を大幅に変更、そのまま帰宅の途についたのだった。
随分と鉄道は乗っているが、さすがに自分が乗っている列車が運転中止となり、代行バスで運ばれたというのは初めての経験だった。
(立ち往生した長万部発小樽行きの列車から代行バスに乗り込む乗客)
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)