秋葉原日記 (ライブラリ)

日本鉄道旅行地図帳「東日本大震災の記録」

 東日本大震災に関して、新聞社などによるグラフ雑誌など膨大な記録集が刊行されていて、いずれもそれなりの発行部数となっているようだ。これらは今でも書店の特集コーナーを埋めている。
 購買者には被災者も少なくないようだが、これには直接の被災者であるだけに、自分の周辺のことは体験としてわかっていてはいても、このたびの大震災が実際のところどれほどのものだったのか、被災直後にはテレビもなかったことでもあり、全体像がわかりにくかったという理由もあるようで、記録集を見て初めて大震災の実像を確認したというようなことらしい。
 大震災に関連する数多い出版の中で本書は鉄道の被災状況に絞って詳細な記録をまとめたもので、なかなかユニークな出版だ。
 そもそも日本鉄道旅行地図帳は、正縮尺の鉄道地図帳として人気を呼んだシリーズで、本書はいわばその東日本大震災特別編集版。
 従来シリーズの特徴をそのままに、本書も豊富な地図と詳細なデータから構成されており、正縮尺の地図には鉄道路線図が掲載され鉄道の被災状況が一目瞭然だ。
 また、被災線区ごとの詳細が記録されており、被災駅から被災列車までも網羅されている。
 大破あるいは消失した駅を見ると、山田線、大船渡線、気仙沼線では軒並み被害を受けているのがわかる。
 運休区間運転再開一覧というのもあって、これも線区ごとの詳細なものだが、それによると、鉄道の復旧は比較的迅速に進んできた。
 ただ、一方で、壊滅的な被害となった沿岸部の鉄道には復旧のめどすら立たず、一部には廃線の懸念すら出ている。
 鉄道は、中でもローカル線は地元の人たちにとって欠くことの出来ない生活の足であり産業の動脈であって1日でも早い復旧を望むばかりだし、運休となっている区間は幾度となく上ったり下ったりしたところであり、早い機会にその車窓風景を楽しみたいものだと念願するばかりだ。
(新潮社刊)

shinsaikirokuchizu.jpg

バックナンバーへ

お勧めの書籍