秋葉原日記 (ライブラリ)

台湾高速鉄路

 昨日は高鉄(台湾高速鉄路)に乗って台北から高雄へ移動した。
 高鉄は、2007年1月に開業した台湾の高速鉄道で、台北から台湾第二の都市高雄を結んでおり、日本の新幹線車両と技術を用いているところからしばしば台湾新幹線と呼ばれる。
 台北駅。まるで巨大な大会堂かと思わせられる風格のある駅舎で、高鉄のほか在来線の台鉄(台湾鉄路)、MRTの捷運などが乗り入れており台湾最大のターミナル駅である。なお、台湾では在来線と高速鉄道の経営は別会社である。
 平日朝の時間帯だから、高鉄の自動券売機の前には列を作るビジネスマンの姿が見られた。
 8時9時台はそれぞれ5本ずつ運行されており、運転密度は高い。全列車終点左営(高雄)までの運転で、各駅停車と速達タイプがほぼ交互に運転されている。
 高鉄台北駅は地下1階が改札口で、プラットホームは地下2階にある。ホームは2面4線。すべてのホームで到着と発車を繰り返している。
 なるほど車両を見て納得した。日本の新幹線そっくりである。それもそのはずJR東海・西日本の700系をベースにしたもので、700T型と呼ばれ川重、日立、日車が製造した。
 ついでにATSなど主要システムも日本製で、フランスやドイツの技術も一部に採用していたから当初トラブルが発生し開業が遅れたほどだったが、このたびの中国高速鉄道の脱線事故においては高鉄は「車両もシステムも日本製だから安全」とアピールしていると日本の新聞は報道していた。
 さて、自分の持っている切符は9時30分発の127列車。運賃と料金込みで1490元(約4500円)だった。
 1Aホームからの発車で、ホームに下りたらすでに入線していた。折り返し運転だったらしい。なお、台湾ではホームのことを月台と優雅に呼ぶ。
 軽快なチャイムが鳴って定刻ぴったりの発車。
 自分の座席は普通車だが、約4割ほどの乗車率。大半がビジネスマンのようだった。
 しばらく地下を走っていてそのまま7分で板橋停車。この駅には全列車が停車するようになっているが、これはここが主要都市だからということではなくて、高鉄の開業は当初ここからの暫定開業だったせいであろう。
 板橋でを出てすぐ地上に。車窓風景は当初が高層アパートだったものが、その後工場群が表れ、次いで農地へと変化していった。
 台湾は西側、つまり海側の西部幹線沿いに主要都市が連なっていて、桃園、新竹、台中、嘉義、台南などと続くが、この列車は速達タイプのため板橋を出た後は途中は台中で停車するのみ。
 通過する町を見ていると、本線は新線のため海沿いは避けて平坦地を選んで一直線に走っているようで、通過する町からはいずれも郊外にあたるようだ。かつて台北‐高雄間を乗ったことがあるのだが、在来線の海線(山線もある)は海伝いに聞き慣れた町を縫うように走るからとても楽しいものだった。
 なかなか早い。時速300キロ近いのではないか。揺れも少ないし、騒音もさほどではないから快適である。
 車内は2列+3列のシート配置だし、内装も日本の新幹線そっくりだし、途中で車内販売が来たりとまるで日本の新幹線に乗車しているような錯覚にとらわれる。車窓風景も似ているからなおさらそうだ。
 台中10時18分着。定刻である。ここで大半が下車した。
 次に10時40分頃か、嘉義を通過したが、ここからは阿里山鉄道が出ているのだが、今回は不通のため残念ながらパス。嘉義を出てすぐに南回帰線を越えたはず。在来線ば南回帰線のモニュメントが見えるのだが、高鉄沿いにはつくらなかったようだ。あるいは気がつかなかったのかもしれない。
 このあたり、車内の表示に時速297キロと出ていた。
 南回帰線を越したということはいよいよ熱帯地方ということになり、そうこうして11時6分ここも定刻ぴったりに左営着。
 新築の立派なターミナルビルだ。高鉄の駅としては台北などよりもよほど大きい。ここも台鉄と捷運(MRT)が乗り入れている。なお、駅に直結して三越デパートがあった。
MRTに乗ると台鉄の高雄駅は5駅10分ほど。将来は高鉄も高雄駅まで乗り入れ津らしいが、現在はこの左営が終点ということ。なるほど、終着のターミナル駅という風情があった。
 ここまで台北から345キロ。所要時間96分。平均して250キロほどの速度だからこれは速い。在来線では4時間を要していたから大幅な短縮ということになる。
 この台湾の高鉄乗り終えたことによって、これで世界の主要国の高速鉄道には乗ったことになる。
 パリとスイスのジュネーブなどを結んでいるフランスのTGV、パリとロンドンを結ぶユーロスター、ドイツやイタリアのICやICE。そして昨年は韓国のKTXにも乗ったし、今年は上海‐南京間で中国の高速鉄道にも乗った。
 世界の高速鉄道の歴史で、1964年開業の東海道新幹線はその嚆矢だった。それを追いかけるように世界の主要国が鉄道の高速化を図り、今また世界では高速鉄道の建設が相次いでいる。
 そうした中で、日本の新幹線は開業以来死亡事故ゼロを達成している。それが「神話」とならないようこの先も続けて不断の努力が必要だろう。
 それが、福島の原発事故で信用を失った日本が、世界に向けて安全安心をアピールできるよりどころとなるのである。

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(台北駅で発車を待つ高鉄700T車両)

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