秋葉原日記 (ライブラリ)

ありがとう魁皇

 大相撲の大関魁皇がついに引退した。
 今場所は4日目に元横綱千代の富士の持つ通算勝利数1045勝に並び、翌5日目には1046勝と前人未踏の最多勝を達成、さらに1047勝まで記録を伸ばしていたものの、19日の10日目琴欧洲戦に敗れた後「思った相撲が取れない」と引退を表明した。持病の腰痛が悪化したものだが、最後は満身創痍だった。
 魁皇は最後までいかにもお相撲さんらしい相撲取りだった。やさしい力持ちという力士らしい立ち居振る舞いから多くのファンを惹きつけてきた。
 得意の右上手をひいた強さには無類のものがあったが、いかにも勝負が淡泊だし、地位にも無頓着だった。だから、幕内で5度も優勝するような何度もチャンスがあったにもかかわらず横綱にはついになれずじまいだった。
 けがにも泣いた。とくにここ数年は痛々しいほどで満足な相撲が取れている状態にはなかった。
 それでもファンの声援を背に受けてひたすら土俵に上がってきた。恬淡としながらもひたむきさが伝わってきた。
 もっともそのあたりが魁皇の魅力で、お相撲さんとしての華があった。まるでレスリングのごとき相撲でもしているような外国人力士が跋扈する今日の相撲界にあっては希有な存在だった。
 野球賭博に八百長と不祥事に揺れたこの1年の大相撲界。
 知らず力士にも一般のスポーツ競技者としてのあり方を求め、普段は大相撲になど関心を示してこなかったファンでもない一般人がヒステリックに大相撲をなじって、結局、大相撲を殺してしまった。
 魁皇が去って、確実に大相撲の一つの時代が終わった。

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(最後の取り組みに向かう魁皇=NHKテレビから引用)
 

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