秋葉原日記 (ライブラリ)

新宿鮫、電子書籍を語る

 昨日まで東京ビッグサイトで開催されていた今年の東京国際ブックフェア。フェア会場は併催されていた電子書籍EXPOにこそ活況があって、まるで電子書籍フェアといった様相だったが、フェア初日には作家大沢在昌氏による「デジタルと紙が併走する時代」と題する基調講演が行われた。
 ハードボイルド『新宿鮫』シリーズで人気の作家が、到来する電子書籍の時代をどう見ているのかを語るとあって会場は満員の盛況ぶりだった。
 講演の中で大沢氏は、このほど単行本を上梓した新宿鮫シリーズ10作目『絆回廊』は、ウエブマガジン「ほぼ日刊イトイ新聞」に週1回約1年にわたって連載したものだが、このウエブマガジンの読者は30代女性が中心だといい、そうなるとハードボイルドからは最も遠い読者層になると懸念もしていたが、結果的には連載中から反応があり、これは新聞や雑誌への連載ではないことだから驚かされたし、中には改めて新宿鮫シリーズを1作目ら9作目まで読破したなどという人もいて、「ウエブが紙の本を奪うなどというのは杞憂のことと思えた」と述べた。
 また、電子書籍の時代という変化は避けられないが、現在のところiPadやギャラクシータブで本を読んでいる人は少ないし、電子書籍が版元に利益を与えていないせいか、版元は電子書籍に対して防御的であって攻撃的ではない。どだい現在の電子書籍の値段は高すぎるのであって「電子書籍は全く別のマーケットと考えることが肝要ではないか」と展開、紙の本も電子書籍も共存する方向が考えられるとも述べていた。

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(満員の聴講者を前に講演する大沢在昌氏)

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