秋葉原日記 (ライブラリ)

ジェフリー・アーチャー『15のわけあり小説』

 アーチャーの最新短編集である。
 エンターテイメント小説の世界的第一人者アーチャーが、その手練れなストーリーテラーぶりを短編でも発揮していて、70歳を超してなおその衰えの知らないところはアーチャーファンとしては何よりもうれしいところ。
 15編はそのうち10編が実話で、残る5編が作者の創作だということだが、いずれも奇想天外や抱腹絶倒だったりとページをくくるのがもどかしくなるほどの面白さで、とくに短編らしくそれぞれの落ちが絶妙だし、読んでいやらしさのないのもいつものアーチャーらしいところで、読後感がさわやかだ。
 この中から1編、収録作品中最も長い「メンバーズオンリー」を拾ってみよう。
 クリーニング屋の息子ロビンはゴルフが趣味。高じてやがてサウスエンドゴルフクラブで最年少のキャプテンとなる。
 そこへロイヤルジャージーゴルフクラブから対抗戦の申し出。
 ロイヤルジャージーは名門クラブとして知られ、ロビンがクラブを訪れると正面玄関には「メンバーズオンリー」との表示。
 対抗戦の結果もさることながら、ロビンはクラブで二つの一目惚れをした。一つはロイヤルジャージーのすばらしさ。もう一つは理事長秘書のダイアナ。
 二つの一目惚れを獲得しようとロビンが取った行動は、父親の経営するクリーニング店の跡継ぎは弟に譲り、自分はジャージーに支店を出すということ。
 やがてダイアナを射止めることには成功したが、ジャージーのメンバーになるという壁は高くて、クラブ選手権で優勝するか、あるいはメンバー申請をして最低15年は待たなくてはならないとううもの。
 しかるに、大戦で申請書類は散逸。再度申請する必要となったが、それももう一度15年を待つことに。最早選手権で優勝できる年齢でもなく、メンバーへの夢は閉ざされたかに思われたのだが……
(新潮文庫)

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