秋葉原日記 (ライブラリ)

なまくら流

 音楽は好きでリラックスした時などよく聴いている。
 ただ、音楽について格別の知識があるわけではないし、立派な装置を持っているわけでもないし、CDもせいぜい100枚ほどあるだけのこと。つまり音楽ファンとは到底言えるものではないことは自覚している。
 また、ジャンルもとくにクラシックが好きだとか、ジャズがすばらしいとか、演歌がいいとか、こだわりがあるわけでもないから、その時の気分しだいで選んでいて、まるでなまくら流。
 しかもその曲にきちんと正面から向き合って聴いているなどということは少なくて、読書の傍ら音楽を流しているということが多い。
 それでも、演奏会にも時折足を運んでいて、その様子をこの秋葉原日記にも書いているから友人の中には自分を音楽好きと思いこんでくれている者がいる。
 その友人の一人からこのたびジャック・ルーシェ(JACQUES LOUSSIER)の「THE NEWEST PLAY BACH」というCDをもらった。
 ルーシェは、フランスのピアニストで、バッハのジャズ演奏で知られ、このCDは最新演奏集というわけである。
 演奏はルーシェのピアノのほか、ドラムがアンドレ・アルビノ、ベースはバンサン・シャルボンというトリオ。
 聴いて驚いた。素晴らしい演奏なのである。バッハの作品をジャズ風に解釈して演奏しているのだが、バッハが現代によみがえったのかとさえ思われた。
 ルーシェのピアノが断然いい。流麗であり、音が澄んでいて濁りがない。ジャズの演奏のようでもあり、クラシックのようでもある。とくにその境目をことさらに感じさせないのである。
 豊かな世界をまるで逍遥しているような気分になっていて、ここ数週間、休日ごとに繰り返し聴いている。
 くだんの友人は、自分のこの拙文を読んで、音楽についてどうせなまくら流だろうということを看破し、クラシック、ジャズどちら向きにも合うということでこのCDをプレゼントしてくれたものであろう。鋭い読みというべきで、そのことにも驚いた。


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(もらったCDのジャケット)

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