秋葉原日記 (ライブラリ)

河北新報社編『巨大津波が襲った 3・11大震災』

 地元新聞社が緊急出版した特別報道写真集である。
 地震発生直後から現地入りした河北新報カメラマンたちが10日間にわたって撮影した生々しい記録が、A4判128ページ全編にわたって埋め尽くされている。
 津波が町に押し寄せるまさにその瞬間、丸ごとのみつくされた町、流されごろごろと横たわっている列車、ビルの上までも打ち上げられたバス、炎上するコンビナート、道に転がる船。惨状である。
 しかし、最も印象深かったのは、がれきの中に1人呆然とする少女の姿だったし、地獄を見てきたかのような避難所の老婆の鋭い眼光などだった。
 このたびの大震災に関してはおびただしいほどの報道があり、たくさんのニュース映像がテレビで流され、新聞や雑誌で克明に報道されてきた。
 初めのうちはそれらに食い入るように見つめていたのだが、次第に目をそらす自分もいた。それは食傷気味ということでは決してなく、どうやら消化し切れていなかったようなのである。
 しかし、本書を見て被災の深刻さがあらためてつまびらかになったし、震災を直視する自分を取り戻させてくれたようにも思う。
 掲載されている写真には取材者の抑制された姿勢が感じられた。さすがに地元紙だけあってきめ細かく広範囲な取材なのだが、震災をいたずらに誇張する様子はなかった。
 だから、民放が連日垂れ流していたセンセーショナルな映像はここにはないし、それだけに物足りないと思う読者がいるかもしれない。
 しかし、大手民放は時間が経てば被災地から去っていける。それに対して地元紙はそこにいつまでもあって取材を続けていかなければならない。そのことに思いを致すとこの写真集の重さが手に響いてくる。

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(河北新報出版センター刊)

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