秋葉原日記 (ライブラリ)

溶接学会春季全国大会

 溶接学会の春季全国大会が昨日から東京・一ツ橋の学術総合センターを会場に3日間の日程で開催されている。
 溶接学会の全国大会は春秋年2回開催されていて、秋季が全国各地持ち回りで開催されているのに対し、春季は基本的に東京で開催されている。
 また、全国大会はもとより学術論文の発表が中心だが、春季大会では通常総会などのプログラムも盛り込まれている。
 学術論文の発表ということでは秋季に集中する傾向があって、春季は秋季の約4割程度にとどまり、今年も発表論文数は91件だった。
 ただ、学術論文の発表に限らず多彩なプログラムがあって、昨日も興味深い講演があった。
 その1つが特別講演で、神戸製鋼所専務取締役溶接部門長粕谷強氏が「KOBELCOの溶接事業について‐世界のものづくりへの貢献」と題し講演した。
 この中で粕谷専務は、世界の溶接材料市場について、2010年の地域別需要量としては、日本297千トン、中国2800千トン、北米520千トン、欧州716千トンとなっていて、中国が突出していること、こうした世界市場におけるメーカー別の売上高では、リンカーン1761億円、エサブ1551億円、神戸製鋼770億円となっていて、神戸製鋼が溶接材料主体の事業であるのに対し、リンカーン、エサブの両社は溶接材料と溶接機を総合した事業展開となっているなどと、具体的数字をあげながら溶接の世界的動向を明らかにした。
 また、顧客対応力と現場対応力が神戸製鋼の強みの一つであるとし、グループ全体で溶接技術のスペシャリストの育成を図っていて、販売組織である神溶会営業マンのWES溶接技術者資格の取得者が実に700人を超えているとし、世界最強の技術営業流通網となっていると強調した。
 さらに、中長期事業ビジョンとして、日本の市場から得ている品質や技術をもとに世界各地で地域に根ざしたグローバリゼーションを推進し、海外戦略をいっそう加速させると語った。
 一つひとつ具体的数字をあげながら行った講演は説得力もあり、大きな構想まで踏み込んだ内容は格調高いもので、日頃学会の場ではこうした経営サイドからの講演は少ないだけに聴講者にとっては興味深いものとなっていた。
 一方、超大型インフラ構造物とその溶接をテーマに行われたシンポジウムでは、日建設計の慶伊道夫氏が「東京スカイツリーの構造計画」について行った講演も興味深いもので、この中で地震に対する設計目標として、東南海地震などに相当するレベル2(きわめて稀に発生する地震動)では「ほぼ無損傷」とし、レベル3(直近に震源を有する内陸直下型地震)で「倒壊しない」となっているとした。
 また、3.11大地震のそのときに慶伊氏はタワーの150メートル付近で作業中だったのだが、さしたる恐怖も感じなかったとエピソードを明らかにした。
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(特別講演の模様)
 

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