ジョージ6世でなければ、ナチス・ドイツを相手に英国民があそこまで団結して敢然と立ち向かうことはできなかったのではないか、そう思わせるすばらしいラストシーンだった。一つの演説が国民を奮い立たせたのだった。
第2次世界大戦の前夜、英国ではジョージ5世が逝去、長男のエドワード8世が即位した。しかし、エドワード8世はわずか1年足らずでシンプソン夫人との恋を取り王冠を捨ててしまった。
これがため、次男のヨーク公が王位を継ぐこととなりジョージ6世となって即位した。
ところが、ジョージ6世には幼少の頃から重度の吃音の障害があり、演説は大の苦手だった。
妻のエリザベスは夫の吃音症を治そうと献身的にサポートしていたが、どの医師にかかっても改善はできないのだった。
そんな折、ライオネル・ローグという言語聴覚士を紹介された。
ライオネルの治療は一風変わっている。患者と対等の関係が必要だとし、王族にすらファーストネームで呼び合うことを強要する。どうやら吃音の原因は幼少の頃の度を超した厳格な教育にあると判断したのだった。事実、耳を覆わざるを得ないような騒音という特殊な環境下では正常に発声できていたのだった。
ナチスがポーランドに侵攻したことから英国は対独開戦を決意する。
宣戦を布告し、国民に徹底した抗戦を呼びかける演説に臨んだジョージ6世。バルコニーの下では国王の演説を支持する国民の叫びがあった。
すばらしい演説だった。国王と国民が一つになった瞬間ではなかったか。
このラストシーンの圧倒的感動を引き出すためにすべてが仕組まれていたように思えた。
面白かったのは、国王がヒトラーが演説しているニュース映像を見て「演説はうまいな」とつぶやいた場面。演説が政治を引っ張るということをさとったのだろうか、そのような感想を持たせられた。
監督はトム・フーバー。キャストもジョージ6世の コリン・ファース、ライオネル・ローグのジェフリー・ラッシュなどと芸達者揃いだった。
イギリス映画らしいユーモアとウィットに包まれていた。英語にもう少し堪能だったならもっと楽しかっただろうなとも思われた。それでも久々にいいイギリス映画を見たという印象は変わらない。もっともこの映画はオーストラリアとの合作とのこと。そういえば、ライオネルの出身地はオーストラリアとの設定だった。なお、監督のフーバーはイギリス人とのこと。これは想像通りだった。
(写真は映画公式ブロから引用)
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)