秋葉原日記 (ライブラリ)

杉田成道『願わくは、鳩のごとくに』

 著者はフジテレビのドラマ「北の国から」の演出家。
 「北の国から」は、北海道富良野市を舞台に1981年から2002年にかけて放送されたテレビドラマで、脚本倉本聰。子役の成長をそのままに21年にもわたって折々に8話が放映された大河ドラマで、雄大な自然を背景に繰り広げられる人間模様は多くの評判を呼び、国民的ドラマとまでいわれた。
 著者はまた57歳の時に30歳年下の女性と結婚、57歳で第1子、60歳で第2子、63歳で第3子をもうけていて、本書はこの人生をつづった自伝的物語。
 これはある種、波瀾万丈、抱腹絶倒の人生で、実際、物語は巧まざるユーモアに包まれていて、それもどちらかといえば恥ずかしくも苦笑いばかりだが、そこはそれ、「北の国から」の演出家のこと、泣き笑いあり、ほのぼのあり、悲しい別れありと、息もつかせぬ面白さだった。
 注目したいのはこの著者の系図で、山川三兄弟、小栗上野介、小山内?、岡田三郎助、三木のり平などとつらなり、それに演出家としての交友関係も加わるからエピソードたっぷりの物語となっている。
 著者杉田成道は50歳の時に妻を癌でなくしており、その後は、この前妻の養母と二人暮らしで、若き新妻依里とは遠縁関係にあって、なれそめを読む限り依里の押しかけの印象が強いが、しかし、入籍はしていたものの披露宴の前に妊娠までしていたのだから、30歳の年の差を跳ね返して悲喜劇こもごもの合意があったわけだ。
 著者はこの物語をつぐむに際して、思い出は「北の国から」とともにあり、「女房の死も、また、新たな妻との出会いも、「北の国から」とともにあった」と語っている。
 そして著者が明かす「北の国から」の制作エピソードが大変興味深いもので、とくに20数年にわたったドラマは子役の成長とともにあったから、子役を演じた純・吉岡秀隆、蛍・中島朋子の二人にとって人生と交差する影響を最大に受けており、「北の国から」なくして二人の人生を語ることはできないと語っている。
 読んでいてとにかく面白くて、まるでテレビドラマのようなこの物語は、すぐにでもテレビドラマ化して欲しいと念願したのだった。
(扶桑社刊)

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