昨夜は上野鈴本演芸場で落語を楽しんだ。
寄席は随分と久しぶりで、誘ってくれる人があって足を運んだ。
鈴本は、数少なくなった東京の落語定席の一つで、1857(安政4)年の講釈場軍談席本牧亭が母体というからもう150年余の歴史ということになる。現在では落語協会の拠点で、初席の主任は一部三遊亭圓歌、二部林家正蔵、三部柳家小三治である。
演芸場は上野広小路に面していて自前のビルがある。
玄関前には今日の演目が張り出されていて、幟旗と太鼓に誘われて入ると1階がいわゆる木戸で、木戸銭は2800円。ホールは3階でエスカレータかエレベータで登る仕組み。
ホールの客席数は285。すべて椅子席で、それぞれの席には折りたたみ式のテーブルが付いていて、飲食も自由という気安さ。写真撮影もとくにとがめられることがなくてこれもうれしいことだった。
この日は平日だったせいもあって客の入りは3分の1程度だった。大半が前のほうの席に詰めていて、通い慣れた人が多いようだった。半分ほどは若い女性で、何でもこの頃は静かなる落語ブームなんだそうである。
プログラムに書いてある開演は午後5時30分だが、5時15分になったら太鼓が鳴って前座が始まった。林家扇というまるで若い女性だったが、羽織も着ていないし、プログラムにも載っていなくて、なるほどこれが前座かと感じ入った次第。
5時30分の開演からはプログラム通りの進行。
初めが初音家左吉。先ほどの前座とはがらり雰囲気が違って、いよいよ膝を乗り出して聴こうかという様子。
次いで古今亭菊太楼が登場したが、ここからが真打ちということだった。店に関西から客が訪ねて来たといった内容だったが、話の中に関西弁が混じるという面白い趣向だった。
高座を生で聴くというのはなかなかいいもので、落語の醍醐味があるようだった。
噺家も客席の反応を直に感じながら演技ができるわけだし、高座と客席の間合いも近いから一体感があって独特の寄席の風情だった。
また、落語はもとより一人芸だが、噺家は上手と下手を使い分けて登場人物を際だたせているのが印象的だったが、これが落語独特のものだろうし、聴いているほうしても登場人物と噺の行くへがわかりやすくなるわけで、上、下と振り分けられるリズムが心地いいのだった。
プログラムは全部で11本あり、この中には講談や漫才、曲芸なども含まれていた。
ところで、この日誘ってくれた方はなかなかの落語通のようで、寄席が終わった後、ひいきにしている噺家二人を誘って歓談した。
菊太楼さんと左吉さんで、お二人とも高座を下りて普段着になると芸人というよりはきちんとした社会人という印象だった。
菊太楼さんは真打ちだが、真打ちになるまでには入門して15年ほどかかるそうで、落語の世界では会社の序列に例えるなら課長クラスということだった。
(高座の模様=演ずるのは古今亭菊太楼)
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)