秋葉原日記 (ライブラリ)

藤原昌高『からだにおいしい魚の便利帳』

 魚は食べて好きだが、釣りもしないし、およそ料理などというものもしたことがない。しかるに何故このような本を読んだか。
 実はある日、本屋の店内をぶらぶらと逍遙していたら(これは大好きで見て回る書棚の分野を問わない)、本書帯に70万部突破とあった。随分と売れているようでこれは実用書の世界としては大ベストセラーだろう。料理本の事情についてはまったく疎いのだが、ぱらぱらとめくってみたら単なるレシピ集とも違って面白そうだった。
 それで読んでみたら実際にも面白い。構えて読書するといった内容の本でもないから、居間で雑談しながら関心のあるところを拾いながらぽつりぽつりと読んでいた。
 取り上げられている魚は約100種。一般の家庭で食卓に上る魚はおよそ含まれているようだ。
 魚にまつわる情報がいっぱい詰まっている。まるで魚事典的コンセプト集だ。
 例えば、カツオ(鰹)について。
 標準和名=カツオ(堅魚、堅木魚、松魚)、科=サバ科、生息域=日本近海、世界中の熱帯・温帯海域。日本海にはほとんどいない、語源=硬魚(かたうお)が転じたもの。縄文時代から食べられてきたが、古くは生で食べられることはなく、硬く干したものが産地から送られ、調味料、携帯食として珍重されていた、地方名=小型魚はサンゼンボン(三千本)。カツ、カツウ、タテマダラ、スジカツオ、ハタジロ、マガツオ、ショウバン、チュウバン、ダイバン、トビダイ、などとあって、初ガツオと戻りガツオは旬は春と秋だとし、切り身は色が深く、澄みきった赤のものがよく、茶色っぽいものは生ではおいしくないとある。
 アミノ酸の1種ヒスチジンが多いため時間がたつとヒスタミンに変わり足が早いし、身が赤いのはミオグロビンという色素を多く含んでいるためで栄養たっぷりだととも。
 ほかに、カツオのたたきの作り方、季節ごとのおいしい食べ方としてさんしょう煮やカツオ納豆などを紹介している。
 また、薬味のこと、残ったカツオをおいしく食べる方法、上手なかつおだしの取り方などという事項まである。
 また、アジ(鰺)の干物では、選び方として開いた状態で全体が丸く、腹の部分や背骨のまわりが白っぽいものは油が多く美味で、焼き方としては最初にグルリ内を加熱しておき、身から焼き、強火で表面をあぶって旨みをとじこめ、最後に裏返して30秒ほど焼くと皮がぱりっと仕上げると。
 魚ごとの各編のほかに、コラムも面白い。
 焼く、揚げる、魚と野菜の相性、焼き魚をきれいに食べよう、おろし方の基本、煮る、切る、鮮度・熟成、干す、魚の脂などとテーマも自在。
 とにかく読んでうんちくがいっぱいになった。
 魚が好きなことはもちろん、雑学も嫌いじゃないし、このネタは酒の肴にもなることだしまた一つ勉強になった。
(高橋書店刊)

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