秋葉原日記 (ライブラリ)

中村明著『日本語 語感の辞典』

 日頃、辞典はよく引くし、仕事柄というばかりではなく全般に辞典は好きで、時にはぱらぱらめくりながら読むのも楽しんでもいるが、この語感の辞典とはなかなか面白いコンセプトで作られていて特徴がある。
 もちろん単なる国語辞典ではないし、見出し語の数も少ないからその代用には一概にはならないが、一つの言葉について用例を確かめながら比較検討するといった具合に、類語辞典とも違って独特の使い勝手ができそうだ。また、読むにはなかなか面白い辞典だ。
 一つ引いてみよう。たった今使った「一概に」について、この辞典では「下に打ち消しの語を伴って、すべてにわたって一般にそうであるとまでは言えないという意味を表し、やや改まった会話や文章に用いられる少し硬めの表現」とあり、類義語として「あながち・必ずしも・まんざら」を挙げている。
 また、引いてみるの枕に「一例に」とか「例えば」などと使いたいところだが、この辞典ではどうか。
 例え=一例の意で、会話でも文章でも使われる和語、とある。類義語として「喩え・仮令・例」の3語が示されている。ただ、「たとい」の転用については示されていない。
 また、この辞典では「例えば」という用例は示されていない。
 ただ、自分は「例えば」を日常的に使っている。新聞用語では「例えば」の用例があるし、新潮日本語漢字辞典にも「例えば=同種類の中から見本として提示する事柄」と示されているし、同じ岩波だが広辞苑にも「例えば=例をあげていえば。具体的にいうと。」などと示されている。
 もっとも、この「例えば」という使い方、作家などでは使う人は少ない。大概はひらがなを用いている。理由は、例、喩、譬などと語源をたどると当てる字の使い分けが難しいからであろうか。
(岩波書店刊)

gokanjiten.jpg


バックナンバーへ

お勧めの書籍