秋葉原日記 (ライブラリ)

「フランク・オコナー短編集」

 フランク・オコナー国際短編賞についてはかねて知っていた。
 何しろその2005年の第1回受賞者が「千年の祈り」のイーユン・リーだったし、2008年の第4回が「見知らぬ場所」のジュンパ・ラヒリで、いずれもすばらしい作品だったから楽しんで読んでいた。なお、第2回は村上春樹が受賞している。
 ただ、賞のタイトルとなっているフランク・オコナーそのことについては、人物の名前だろうくらいしか関心がなかった。
 今回、その短編集が出版されて初めてフランク・オコナー(1903‐66)がアイルランドの短編作家で、フランク・オコナー国際短編賞はその業績にちなんで創設されたもので、対象は英語で出版された短編集だということがわかった次第。
 で、短編の名手だというそのオコナーの短編集だということで直ぐにも手に取ったのだった。
 読んでみてこれはなかなか手強いとまずは感じた。
 11篇が収められていて、いずれも短編なのだがこれが必ずしも軽くはない。淡々と物語は進んでいくし、時にユーモアもあるのだが、やさしくはない。
 また、ミステリアスな作品も多くて、それは冒頭から引き込まれるおもしろさではあるのだが、ただ、注意深く読まないと落とし穴にはまって話がわからなくなるおそれがあった。
 滋味にもあふれてもいるから、これは何度か読み返して楽しむべきものかもしれないが、これがアイルランドという風土なのだろうか、不思議な読後感だった。(阿部公彦訳)
(岩波文庫)

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