秋葉原日記 (ライブラリ)

壁画「明日の神話」

 大きい。とても一目では目に入りきれない。原色が四方に散っている。圧倒的迫力だ。
 岡本太郎の壁画「明日の神話」(あすのしんわ)である。縦5.5メートル、横30メートルあるという。
 第五福竜丸が被爆した際の原爆の炸裂の瞬間をテーマにしているのだという。
 そもそもこの壁画は、メキシコに建設されるホテルのために制作されたものだったが、依頼主の経済的事情で所在が不明となっていたところ岡本敏子が数年前にメキシコで発見、日本に移送して修復していたものだという。
 修復後の壁画の設置場所としては、広島市や長崎市、吹田市などが名乗りを上げて誘致合戦を繰り広げていたが、最終的には渋谷区に決まっていた。
 11月17日から公開されていて、ここは渋谷駅構内で井の頭線からJR線あるいは銀座線への連絡通路。1階と2階の二つの通路から見物できるようになっていて、マークシティとしてこのために整備したもののようだが、人通りは多いものの雑踏という雰囲気ではなくて、より多くの人に訴えるという意味ではこの場所は最も適していたのかもしれない。
 この壁画を見ていてピカソの「ゲルニカ」を連想していた。作品の持つ思想的意味といい「明日の神話」は「ゲルニカ」に匹敵するのではないか。ピカソはモノトーンで生まれ故郷が戦火に焼かれるのを描いたが、岡本は原色で炸裂の激しさを描いたように思えた。
 また、この壁画を見て、同じ岡本の代表作である大阪万博のシンボルタワー「太陽の塔」につながる系譜の作品かとも思え、強さと悲哀が同居する不思議な印象を憶えた。

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