秋葉原日記 (ライブラリ)

衝突か融合か

 イスタンブル雑感。
 実質的にはわずか中2日の滞在に過ぎなかったけれども、イスタンブルはなかなか印象深い町だった。
 先に、ここはヨーロッパなのかアジアなのか、キリスト教とイスラム教、西洋文明と東洋文明、その衝突と融合についてイスタンブルは呻吟していると書いたが、その微妙なバランスの上に乗っているように自分には思えた。
 イスタンブルはもとよりローマ帝国、ビザンチン帝国、オスマン帝国という三代にわたる大帝国において首都だったところ。
 輝かしい歴史があり、誇り高き民族意識がある。
 そう言えば、軍事博物館を訪れたときのこと。帝国時代のものであろうか、民族的軍装に身を包んだ軍楽隊によって世界で最初の軍隊行進曲だという、あの独特の一種哀調を帯びながらも勇ましい演奏が行われていた。
 会場には、社会科学習なのであろうか、大勢の小学校低学年と思われる生徒たちが先生や母親たちに引率されて見学に来ていたが、軍楽隊の演奏に大歓声を挙げていて、子供たちにとってさえ古い軍隊行進曲も馴染みなのだと感心していたのだった。
 そのトルコも、現在は自動車や衣料品など欧州の生産工場として高い経済発展を続けていて、BRIC'sに次ぐNEXT11あるいはVISTAの一角にあって注目の工業国に成長している。
 政教分離が国是で、EU加盟を目指しているがなかなか果たせないでいる。欧州側にイスラムの国に対する警戒心が密かにあるからだと指摘されている。
 実際、トルコは大国である。人口は7千万人に達するが、これはEUではドイツに次ぐ。これほどのイスラム教国を、キリスト教国クラブのごときEUが迎え入れられるのか。
 経済成長を引っ張ってきたのは、建国の父で初代大統領であるアタチュルクが定めた政教分離を国是とする勢力だが、一方で、急激な経済成長は格差も生みつつあるようで、イスラムの教えを声高に唱えている現政権の勢力の浸透は着々と及んでいて、もし、EU加盟が宗教上とわかるようなトルコにとって不当な理由によって拒否されるようなことがあれば、イスラム勢力は一挙に拡大する懸念があるようにも見えた。
 いずれにしても、トラムが似合うこのイスタンブルは、直ぐにでも機会を得て再訪したい、そう言う魅力を感じさせる街ではあった。

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