秋葉原日記 (ライブラリ)

「溶接ニュース」創刊60周年

 産報出版発行の週刊新聞「溶接ニュース」が創刊60周年を迎えた。これはすなわち産報出版にとって創業60周年ということでもある。
 1948(昭和23)年の創刊で、戦後の工業復興には基幹技術である溶接技術の発達と普及が重要と認識する先達らの手によって発刊された。
 当時、溶接業界には溶接学会があって、戦時中の休会状況からいち早く再建されていたが、学術面を担当する学会とは別に、溶接技術の普及と産業の振興を目的とする日本溶接協会の設立が希求されていた。
 こうした時代背景もあって「溶接ニュース」は当初溶接学会誌別冊として発刊されたが、内容的には当初から日本溶接協会の設立気運を促すのが目的となっていて、翌年3月の日本溶接協会創立とともに「溶接ニュース」の発行は日本溶接協会に移管され、以来、機関紙として今日に至っている。機関紙である「溶接ニュース」の創刊が日本溶接協会の創立よりも先になっているのはこのためである。
 今、創刊号を手に取ってみると、1面には岡田実溶接学会長による創刊の辞と日本溶接協会の創立に向けた挨拶が掲載され、2・3面には「日本溶接協会設立準備完了す」の見出しのもと、組織と活動方法など設立構想が具体的に示されている。また、ページをめくると、佐々木新太郎氏の「ガス溶接か?電気溶接か?いずれを選ぶべき」などといった記事も見える。
 このように創刊号は、日本溶接協会の設立を促し、溶接技術の健全な普及を目指して、B5版10ページという小さい紙面ながら、先達の情熱を大きく膨らましている。
 以来、「溶接ニュース」は創刊から60年、一貫してものづくりの基盤技術である溶接とともに歩んできたが、この間の溶接業界は起伏に富んだ歩みながらもおおむね健全に発展してきたと言える。
 ただ、現在の溶接業界を取り巻く環境は、百年の一度の金融危機という、かつて経験したことのない未曾有の混乱の中にあって先行きも極めて不透明という状況にあるが、いつの時代にあっても、どんな時代にあっても、溶接の技術革新だけは欠かさないという、不断の決意が肝要だろう。

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(1948年11月15日発行「溶接ニュース」創刊号)

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