秋葉原日記 (ライブラリ)

映画『クライマーズハイ』

 監督・脚本/原田眞人、主演/堤真一で、原作は横山秀夫。
 横山は「陰の季節」「動機」「半落ち」などで知られる人気ミステリー作家で、主人公にいわゆる刑事ではなく、警務部(一般企業でいう総務部)などに所属する警察官を登場させ警察小説に新風を吹き込んだが、原作の本書は警察小説から脱した著者初の本格長編小説だった。2003年の刊行。
 舞台は「北関東新聞社」という群馬県に本社を置く地方新聞社。
 題材は1985年8月12日の御巣鷹山日航機墜落事故。
 死者520人という未曾有の大惨事となった事故の第一報から新聞記者たちの激動が始まる。
 編集局で「日航全権」と呼ばれるこの事件の総括デスクに指名された主人公の悠木。
 事故現場の地元紙としてのプライド。しかし、物量にすぐれる全国紙との厳しい競争。また、ライバルは競争紙ばかりでははなく、障壁は社内各部署にもある。
 行き詰まるような緊迫感のある新聞製作の現場がよく描かれている。
 クライマックスは二つある。
 一つは、事故からいち早く現場に入った記者からの最初のレポート。これが齟齬もあって結局は翌朝刊に間に合わない。
 二つ目は、事故原因をつかんだ特ダネを紙面に載せるのかどうか。躊躇する悠木。結局は「ダブルチェック」のできない情報ということで見送るのだが、その結果他紙に抜かれることになってしまう。
 この二つのクライマックスに向けた緊迫感がとてもいい。より早く、より正確に生き生きとという新聞の使命が伝わってくる。
 原作はおもしろく読んでいたし、映画より前に映像化されていたテレビドラマも見ていたし、そしてこの映画。
 メディアが違うのだし、どれがいいというものでもないのだろう。どれもおもしろくはあった。
 ただ、主人公悠木に絡む私生活上のエピソードを原作とはがらり変えたこの映画が、脚本として成功していたかどうか。映画は随分と感傷的なエンディングとなっていた。

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(映画「クライマーズハイ」公式ブログから引用)
 

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