秋葉原日記 (ライブラリ)

N響「夏」2008

 先週末はNHK交響楽団のN響「夏」2008東京公演をNHKホールで楽しんだ。
 上演されたのは、ベートーヴェンの交響曲第7番イ長調作品92で、指揮ファビオ・ルイージだった。
 この曲は、ベートーヴェンのシンフォニーの中では第5番「運命」はもちろん第3番「英雄」や第6番「田園」、第9番「合唱付き」などに比べさほどポピュラーではないが、実は自分にとっては思い出深いもの。
 高校時代、家にあった大型のハイファイラジオ2台をスピーカーとアンプ代わりとし、これに貯め込んだ小遣いをはたいてレコードプレーヤーを新たに購入、即製のステレオセットを構築したのだった。
 当初は、家にあったものや友人から借りたレコードでクラシック音楽を楽しんでいたのだが、そのうち自分のレコードが欲しくなり、初めて自分で買ったレコードがこのベートーヴェンの第7番だった。レーベルはドイツグラモフォンで、演奏はカラヤン指揮のベルリンフィルだった。
 何しろあの頃レコードは高価だった。文庫本10冊分くらいはした。だからというわけでもないが、レコードは繰り返し聴いた。すり減るほどかけた。
 この曲を初めて購入するレコードに選んだについては、ベートーヴェンのシンフォニーの中ではあまりポピュラーでもなく、友人のクラシックファンの間でも持っている者がいないというのが理由だった。
 実は、このレコードは実家においてあって、従ってこの第7番もその後40数年というもの聴く機会がなかった。
 しかし、指揮者がタクトを振り下ろし、ジャーン、と演奏が始まったその瞬間、あの第7番がよみがえった。
 第1楽章からリズミカルで力強い曲想である。第2楽章ではさすがに落ち着くがカンタービレというほどのものではない。第3楽章で主旋律がズッ、ツ、ズッ、ツと押され、第4楽章で歓喜が爆発、熱狂的フィナーレとなる。
 全曲を通じて強いリズムを刻んでいるのがこの第7番の特徴で、指揮のルイージも力強いパフォーマンスだし、バイオリンなどひたすらのこぎりでも引いているような忙しさだし、演奏者たちのめいっぱいの演奏が続く。
 第3楽章で主旋律に至ったときには思わず涙が流れてきた。感極まったのである。高校時代が思い起こされたのかも知れない。オーケストラの演奏を聴いて涙を流すなどということはさすがに初めてのことだった。

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(演奏開始前のN響の模様=NHKホールで) 

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