秋葉原日記 (ライブラリ)

木喰

 横浜のそごう美術館で開催中の木喰展を見た。
 木喰については、本で読んだりテレビで紹介されたりしたものを見て知っていて、かねてその仏像を実際に拝んでみたいものだと念願していたのだった。
 目の当たりにして、その素朴さにまず何よりも感動した。
 また、想像していたよりも彫刻としての完成度の高いことにも驚いた。
 もとより木喰の作風は伝統的な仏教彫刻とは異なったものだが、簡潔な造形は惹きつけるものがある。
 仏像を前にしてその微笑みに接すると、慈しみもさることながら親しみをより感じるのも木喰仏ならではか。
 やはり親しまれてきたのだろうか、いずれの仏像も手垢で黒光りしていたが、自分もなでてみたい誘惑をこらえるのに苦労した。
 木喰は、江戸時代後期の遊行僧で、日本全国を行脚しながら仏像を彫り続けた上人様。
 実に1000体を超える仏像を遺したといわれるが、その存在が明らかになったのは意外と新しくて、大正になって柳宗悦に見いだされてからといわれている。
 今年は木喰が生誕して290年になるということからこの展覧会も大回顧展となっていて、130点にも及ぶ仏像が展示されていた。
 この中では、慈愛に満ちた笑顔の阿難像と歯をむき出しにして笑う迦葉像の対の仏像がよかった。これは1本の木を二つに割って造像したものなそうだ。なお、阿難も迦葉も釈迦の十大弟子である。

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(木喰自刻像=展覧会場で販売されていた絵はがきから引用)
    

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