秋葉原日記 (ライブラリ)

東野圭吾『流星の絆』

 著者は直木賞作家。受賞作の『容疑者Xの献身』は傑作だった。加田伶太郎流に言えば、いいミステリーの必要条件である、あっと驚くどんでん返しがあった。内容にも深い情緒があった。
 で、本書はどうか。
 洋食屋を営む両親が何者かに殺害され、小6男、小4男、小1女の3人の子供が残された。
 犯人は目星すらつかず、時効が近づいている。
 子供たちは施設に預けられ、やがて成長し大人になっている。
 子供たちの絆は強く、3人は詐欺師として組んでいる。
 そして、詐欺のターゲットに両親殺害の犯人に関係すると思われる人物が引っかかってくる。
 ミステリーだからこれ以上のストーリーを書くことはまずいだろう。
 さらっとした情感。エンターテイメントとして読みやすいし楽しめる。ただ、ミステリーとしての深みにはやや欠ける。
 読んでいて途中で、おや犯人かと訝しむところがあった。
 これは、ミステリー好きである自分の勘の鋭さか、あるいは著者のストーリー上、表現上の瑕疵か。
 そのおやっと思ったことがどんでん返しとして結末を飾っている。
 父親が得意だったハヤシライスが、重要なモチーフとなっている。そのことだけは付け加えておこう。
(講談社刊)

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