秋葉原日記 (ライブラリ)

葛飾柴又

 テレビで寅さんが話題になっているのを見ていたら、無性に葛飾柴又に行きたくなり、一昨日土曜日梅雨の晴れ間を見つけながら訪ねてきた。
 柴又には、金町から京成金町線を利用した。金町からわずか一駅の区間である。
 柴又を訪れるのは何年ぶりだろうか。随分と久しぶりだ。電車は、かつてはよく映画にも登場していたように丸みを帯びた緑色の車体だったが、今はステンレス製の通勤型車両となっていた。かつては2両だった編成も4両と長くなったようだ。
 柴又は、東京の西端、江戸川に沿って開けたところで、映画「男はつらいよ」シリーズの舞台として知られるばかりでなく、日本人の心象風景を映しだしたような町だ。
 駅に降り立つと寅さんの銅像が迎えてくれた。ただ、この像はよく見ると、我々を迎えてくれたのではなく、寅さんが柴又に別れを告げて今にも旅立とうとしている、そのような姿に見えた。
 駅前から参道をぶらぶら歩いた。両側には土産物屋がびっしり軒を並べている。名物の草団子を売る店が多い。川魚料理の店が目立つのも土地柄。
 参道はそう長くもなくて、わずか100メートル程度か。すぐに帝釈天に突き当たった。
 休日とはいえ、夕方だったせいもあって人出はそう多くはなかった。寅さんが亡くなって柴又を訪れる観光客も減ったというが、そういうことなのだろうか。
 山田洋次監督、渥美清主演の映画「男はつらいよ」シリーズは、1969年の第1作から1995年までの26年間に全48作品が公開された。今年はちょうどその第1作から40年だということで、記念のイベントが企画されているようだった。
 この映画は48作全作品を自分も見ていて、「フーテンの寅」のやさしさ、哀しさに涙を流するとともに、人情味あふれる登場人物たちと、寅さんが旅をする日本の美しい風景が楽しみだった。
 また、毎回登場するマドンナたちも魅力的で、この中では浅岡ルリ子のリリーが印象的だった。彼女は最多の4回マドンナ役をやったのだそうだが、最終作となった『男はつらいよ寅次郎紅の花』では、ついに寅さんも結婚するのではないかと思わせられたが、結局それはならなかった。
 帰途、草団子をほおばりながら、山田洋次がこの柴又を舞台に選んだのは、どういうきっかけだったのだろうか、そんなことを考えていた。

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(柴又の帝釈天参道)

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