秋葉原日記 (ライブラリ)

ジェフリー・ムーサス『「縁側」の思想』

 MIT(マサチューセッツ工科大学)で建築デザインを専攻した著者が、日本建築にあこがれて来日、次第にキャリアを積み重ねてゆく姿が自伝風に描かれている。
 しかも、この若きアメリカ人建築家は、京都に居を構え、京町家という伝統建築へ挑戦してゆくのだが、その体験は優れた日米文化比較ともなっている。
 京町家といっても、京都に縁のないものにとってはわかりにくいのだが、京都の人が育んだ生活の知恵が凝縮されたもののようで、著者はこの町家をリフォームしながら、実は京都の文化そのものを解析していたようでもあり、本書を読んでまずはそのことに感心した。
 つまるところ、建築文化として西洋が屋根文化であるのに対し、日本は壁文化であると指摘、日本建築のフレキシビリティを評価しているのだが、なかでも「縁側」を日本建築の象徴としてとらえている。
 今流行りのような単なる京町家の観光案内ではなく、専門家による解説は、通り庭、おくどさん、奥などと京町家の知恵と生活がきちんと示されていて、初めて京町家の魅力に触れたようだった。
 また、本書では写真や図面など図版類を豊富に使用しているのだが、それにしても建築家というのはすばらしいもので、百年ほども経た古びた町家が見事に生き返っていく様は感嘆された。
 本書を読んで京町家というものを一度でも是非体験してみたいものだとの念を強くもしたのだった。
(祥伝社刊)

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