秋葉原日記 (ライブラリ)

昔の一現場技術者

 「昔の一現場技術者」とは、横須賀市在住中村春雄さんのホームページのタイトル。
 その中村さんの葬儀が昨日30日正午から横須賀市浦賀駅前の葬儀場で営まれた。中村さんは持病のすい臓病をこじらせて自宅で療養されていたが27日逝去された。享年75歳だった。
 中村さんは、大阪大学溶接工学科を卒業後住友重機械工業に入社、以来、一貫してウエルディングエンジニアとして歩まれたのだが、それはご自身のホームページのタイトルにもしたように「現場主義」が口癖で、その信念を貫いたご生涯だった。
 中村さんとは30年近いお付き合いで、とくに小社発行の月刊『溶接技術』誌では編集委員長も歴任されるなど昵懇にしていただいたし、原稿も実に多数ご執筆いただいていて、同誌への寄稿数では歴代筆者トップクラスではないかと思われる。
 中村さんは、住重退職後は主にお好きな溶接の歴史研究をライフワークとされ、徹底した文献調査を手掛けられたが、それは実に膨大なもので、その成果を『溶接技術』に執筆されたほか収集整理した資料を手製による私家版としてもまとめられていた。
 これらはこれまで誰しもなしえなかったもので、わが国溶接界の歴史を研究するに際し貴重な文献となっていることはもちろんで、1冊完成するたびに自分に届けて下さっていて、それは「造船溶接の歴史」「溶接の実務」「溶接技術関係史年表」など手元にあるものだけでも18冊に上っているし、これらのいくつかはCD版としてもまとめられている。
 中村さんには随分とかわいがっていただいてきていて、それも単に筆者と編集者という間を越えたご厚誼をいただいてもいたのだが、この数年来往来が少なくなっていて、一度ご機嫌を伺いに訪ねようと思っていた矢先のことで、断腸の思いが強い。
 今はただご冥福をお祈り申し上げるばかりだ。

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(中村さんが発行された溶接関係文献とCD) 

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