秋葉原日記 (ライブラリ)

池田清彦+養老孟司『ほんとうの環境問題』

 一刀両断、今日のわが国を取り巻く環境問題をばっさりなで切りにしている。
 読んでいてあまりに痛快だが、はて、一般的な日本人が理解している、あるいは取り組んでいる環境問題に対するコンセンサスとは隔たりがあるようで、果たしてこれが我々の蒙を啓いてくれているのか、あるいは単なる独断なのか、恣意的な理論工作なのか、にわかには結論できなかった。
 著者の池田は、生物学を専攻した早大教授にして『新しい生物学の教科書』『環境問題のウソ』などの著作を有し、また、養老は解剖学者にして『バカの壁』『死の壁』などのベストセラーを有する人気学者。
 論点を見てみよう。
 ・京都議定書は日本にとってとんでもない不平等条約=これはいい。
 ・環境問題はつまるところエネルギーと食糧の問題=これもいいだろう。
 しかし、
 ・地球温暖化は瑣末な問題だ=果たしてそうなのだろうか。
 ・炭酸ガス排出量を最大テーマにしているが果たしてそうか=すでに世界的コンセンサスがあるはず。
 ・ペットボトルのリサイクルやゴミの分別収集は無駄=環境問題に取り組む象徴的意味すらないのか。
 結局、環境問題に対し、盲目的に追従するのではなく、政治的背景等も見極めてよくよく考えることが肝要だ、という点においては参考となったが、環境問題を科学的に突き進めるべきと言っている割りには、使用しているデータが古いようにも思われた。
(新潮社刊)

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