秋葉原日記 (ライブラリ)

小駒勝美『漢字は日本語である』

 著者は新潮社の社員である。昨年出版されて評判となった『新潮日本語漢字事典』の執筆、編纂を担当した。
 従来の漢和辞典が漢文を読むための辞典であったのに対し、この辞典は日本語の漢字を読むための辞典という、これまでになかった斬新なコンセプトでまとめられているが、本書はじめにによると、著者はこの辞典をつくるに際して企画書の提出から上梓に至るまで11年の月日を費やしたということである。
 そして、この辞典の執筆、編纂作業を通じて漢字について様々なことを学ぶことができたといい、特に「漢字は日本語である」ということを痛感したと述べている。
 それにしても、著者の漢字に対する知識は実に豊富だし、漢字に対しては子供のころから関心が高かったようだが、それも愛情すら感じられるほどだ。
 漢字に関する一般向けの書物は学者のものなどたくさん出ているが、本書は、辞典同様日本語のための漢字という視点で書かれているから、読んでいておもしろいし読みやすい。そのうんちくぶりも楽しし、いちいちウンウンと頷きながら読んだ。
 漢和辞典では引けない秋桜や公孫樹などという言葉、斎藤と斉藤の違い、三浦知良はなぜ「カズ」なのかなどと日本語漢字の世界が広がっている。
 それにしても、一つの辞典をつくるのに11年もかけたという、かかりっきりだったのか、一人っきりだったのかそれはともかくも、その持続したエネルギーは立派なものだ。また、こういう息の長い仕事をまかせる新潮社という出版社の風土も感心することだ。
(新潮新書)

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