秋葉原日記 (ライブラリ)

宮脇俊三『時刻表2万キロ』

 先週の大阪出張では、パソコンやら何やらと持ち物が多くて、携行する読書本選びにも躊躇した。このところ腰が痛くて、これ以上カバンを重くしたくなかったからで、できれば文庫本か新書本がよかったのだが、これが新刊に適当なものが見当たらなくて、結局、再読でもいいからと書棚を見回して選んだのがこれ。
 本書を読んだのは、単行本も含めると今回で4回目ほど。前回からはさすがにもう20数年ほどにもなるが、いつ読んでも感激が新たになる。
 著者の宮脇さんは、亡くなられて5年になるが、わが国において「鉄道紀行文学」というジャンルを開拓された第一人者で、本書はその処女作だった。
 本書は、1977年当時の国鉄全線完乗を目指したノンフィクションで、まるで虫食いのように残っている未乗のローカル線区を一つ一つ乗り潰していく悪戦苦闘が書かれている。
 その文章は簡潔にして軽妙なユーモアにあふれているし、その観察は一流の文明批評ともなっていて、鉄道ファンのみならず多くの読者を惹きつけている。
 自分が鉄道にのめり込むきっかけとなったのも本書を読んで感化されたからで、自分もJR全線完乗を2003年7月17日留萌本線増毛駅で達成したし、2007年11月3日には島原鉄道加津佐駅をもってついに全国全鉄道全線完乗を果たしたのだが、そのお手本は常に宮脇さんだった。
 ところで、本書を読んで何よりもしみじみ思ったことは、宮脇さんが国鉄全線完乗した1977年と、自分がJR全線完乗を達成した2003年とでは、国鉄が解体されJRとなったことばかりか、この間の26年で全国の鉄道地図は随分と塗り変わったということだった。
(角川文庫)

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