秋葉原日記 (ライブラリ)

「建築の記憶」展

 東京都庭園美術館で開かれている「建築の記憶」展を見た。
 写真と建築の近現代―の副題の通り、同時代の建築物を同時代の写真家が撮影したもので構成されている。
 建てられた地から動かすことのできない建築は、実際にそこを訪れない限り見ることはできない。また様々な理由により形を変えられてしまったり、時代の変化とともに失われてしまうこともある。従って我々の建築体験の多くは写真によるものだ。(同展パンフレット)
 確かにそれもそうで、かえって我々は世界の建築物を写真で知って興味を強くしている。
 本展には、わが国最古の建築物写真だろうといわれる明治初期の熊本城のものから、現代の青森県立美術館に至るまでの作品が展示されている。
 おもしろかったのは、熊本城や江戸城といった明治初期の貴重な写真もさることながら、建築に際しつくられた模型の写真で、完成後の写真と比べてみることにより、建築家の構想というものまでうかがい知ることができたことだった。
 また、桂離宮では、修復前後の写真が同時に展示されていておもしろいかったし、本展では、建築史と写真史の変遷と接点を概観する試みがコンセプトとなっており、建築と写真との関係という新しい視点を提示したと言えそうだ。
 ところで、会場の庭園美術館は港区白金台にあって、旧朝香宮邸をそのまま美術館として開放しているもので、会場そのものが美術的にも歴史的価値の高いものだし、その名の通り庭園もすばらしいもので、何かしら優雅な気分にしてくれる美術館だ。

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(展覧会パンフレットから引用) 

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