秋葉原日記 (ライブラリ)

小池滋『余はいかにして鉄道愛好者となりしか』

 題名はもちろん内村鑑三の有名な書名をもじったものだが、本書によれば著者が鉄道愛好者となったのは、生まれ育った場所が鉄道のそばだったからだということである。
 著者は、1931年、現在の品川区西品川、「上を東海道新幹線、下を横須賀線電車や湘南新宿ラインが走っているJR線が、東急電鉄大井町線と下神明駅付近で立体交差するあたり」で生まれたらしい。
 当時はもちろん新幹線はなく、鉄道も貨物線が幅をきかしていたあたりらしく、それが強烈な原風景となって成長したものらしい。なるほど申し分のない生育環境だ。
 長じて著者は、英文学を専攻する大学教授となるが、傍ら『英国鉄道物語』や『鉄道世界旅行』を著すなどつとに鉄道好きとして知られる。
 それも単なる鉄道好きということもさることながら文学的香りの濃厚な作品が多くて多くのファンを持つ。
 本書も同様で、鉄道好きが高じた姿がおもしろく描き出されているが、とにかく豊富なうんちくには驚かされる。
 それも、専門とも関係して英国の鉄道に関する知識は高邁で、これはもうただ鉄道好きが鉄道について何事かを書いたというような代物ではなくて、鉄道を題材にした文化論と言ってよいものだろう。
 「英語をまじえた鉄道物語」という章など、鉄道に関する英語の、それも正式な英国式発音まで含めた学習帳になっている。
(ウェッジ文庫刊)

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