秋葉原日記 (ライブラリ)

神田まつや

 そばの名店で、神田須田町の老舗の一つ。近所同士でもあり、かんだやぶそばとは常に並び称される。人気も二分している。
 やぶがたたずまいからして高級感が漂うのに対し、まつやはどちらかといえば風格はあるものの庶民的だ。作家池波正太郎が好んだ店として知られ、やぶよりもこちらの方はそば通ほど好むかも知れない。
 1884年(明治17年)の創業で、今の店も大正年間の建築。靖国通りから少し入った店は間口もそんなに広くもなく、初めての人ならうっかり見過ごすかも知れない。
 中に入ればいかにもそば屋という風情で、6人掛けのテーブルがぎっしりと並んでいる。いつ行っても混んでいて、肩を寄せ合うようにして座らなければならない。
 そばは、わずかに黄土色していていかにもそばらしい色具合だ。すべて手打ちで、こしもあるし、歯ごたえ、のどごしも悪くない。風味もある。汁は江戸風にこれはやや辛め。
 昨日女子社員と連れだって昼食に行ったのだが、二人の女子社員はともにごまそばを頼み、自分はもりそばと天ぷらそばを注文した。
 ごまそばは、そばはもりと同じなのだが、汁がごまだれになっていて、女性に人気がある。やぶでは、女性でさえ物足りない程度の量しかなかったのだが、まつやはそれなりの分量だったようだ。もっとも、同行してくれたのはやぶに行ったときとは別の女子社員だったのだけれども。
 量についてだけ言えば、自分にとってはやはりまつやも物足りなかった。若い男性サラリーマンなどからしたら、腹一杯にはならないし、そばは割高感が強いかも知れない。
 天ぷらそばは、どんぶりからはみ出すほどの大きな車エビが2匹豪華にのっていて、かぶりつくようにしていただいた。
 やぶとまつや、どちらにも時々行くが、自分としてはそばはまつやがいい。ただし、天ぷらはやぶのかき揚げの方が数段勝っている。
 値段はどっちも同じ程度で、どちらにしても安くはない。ちなみに、もりが、やぶ700円、まつや600円で、天ぷらそばは、やぶ1800円、まつや1900円である。

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(秋葉原風景22=神田まつや)

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