秋葉原日記 (ライブラリ)

山地啓司『マラソンを走る・見る・学ぶ』

 マラソンの季節である。毎週のように大レースが組まれている。
 マラソンを見るのは好きで、テレビ中継は楽しみだ。
 しかし、走ることはマラソンに限らず嫌いだ。
 だから、はしがきに「マラソンに関する今日の科学的成果を、わかりやすい言葉で、指導者や個々のランナーが日ごろのトレーニングやレースの中で利用しやすいように、具体的に解説するよう試みました」とあるような本書は、自分には本来必要のないものだし、元来目にもとまらないものだ。
 それが、手に取ってみると、これがなかなかおもしろい。うんちくがいっぱい詰まっているのである。
 著者は体育学の専門家だから、それこそ専門的記述も少なくはないのだが、それとて科学的解説として読むと興味も深まってくる。全部で100の項目をQ&Aで記述されており、表現もやさしいから読みやすかった。
 いくつか拾ってみよう。
 ・マラソンの記録はどこまで伸びるか=過去の記録から期待値を推定すると野口みずきは2時間15分04秒となる。
 ・何歳頃にベスト記録が出せるか=現役最高齢は96歳で、90歳以上世界最高記録はシン(イギリス)の5時間40分04秒。
 ・マラソンの記録を決定する要因=ヒトのエネルギーの出力の大きさや持続能力は酸素を取り込む能力によって決定される。
・体重の軽いことは有利=つまりランニング中のエネルギー消費量が少なくなり、脚への負担も軽減される。
 ・30キロを過ぎてマラソンレースのドラマが最高潮に達するには理由がある=グリコーゲンの多寡、燃焼の仕方などによって差がついてくる。
(大修館書店刊)

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