秋葉原日記 (ライブラリ)

星野道夫写真展「星のような物語」

 市川市文化会館で開催中の星野道夫写真展「星のような物語」を見た。
 圧倒的感動だった。
 カリブーやグリズリー、北極熊などと星野がアラスカに身を投じて撮影した写真300点が展示されていた。
 作品は、たまさかの取材でシャッターチャンスを得た、などということではものにできない、対象の懐深く飛び込んで初めて可能にした、そのような内容だったし、厳しい大自然を相手にしながらも、慈しみと暖かさを感じさせるものだった。
 会場の写真パネルの脇に掲示してあったコメント「熊の足跡を踏んで森に入っていくうちに自分はいつしかそのなかに属していた」という文句も肯けるものだった。
 星野は市川市の出身で、この写真展も没後10年を記念し足かけ2年がかりで全国各地を巡回してきた展覧会の掉尾を飾る形になっていた。
 星野の作品と初めて接したのは、実は写真集ではなくてエッセイ集『イニュニック』だった。15年ほど昔のことで、以後、『旅をする木』などと彼のエッセイは好んで読んできた。
 今や伝説にすらなった「浅き川も深く渡れ」という言葉は、会場の説明パネルによれば、中学校の卒業文集に載ったものだという。若くしてロマンティストだったのだろう。
 その星野が、カムチャツカ半島で取材中、テントで寝ているところをヒグマに襲われて亡くなったのが1996年、享年44歳だったが、このたびの写真展で星野の魅力が再確認できたことは幸いだった。

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(写真は展覧会会場で販売されていた絵はがきから引用)

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