秋葉原日記 (ライブラリ)

溶接アート

 現代の工芸は、陶やガラス、染色、漆、金属などを素材としてつくり出される造形世界。
 様々な素材や加工技術の開拓によって新しい世界が生み出されていて、工芸や美術などとそれぞれの枠ではくくることのできない世界が構築されつつあるという。
 開館30周年を記念し東京国立近代美術館工芸館で開催されている「工芸の力―21世紀の展望」は、こうした今日の造形世界の魅力を紹介した展覧会。
 会場には、人間国宝から新進気鋭まで14人の作家の作品が展示されている。
 このうち、金属を素材に溶接で造形した作品が二つ出品されていた。
 一つは、留守玲「潜熱さしひびき」(2003年、鉄、溶接)で、吹き出した溶岩が固まったような形状をしていている。よく見ると、何枚もの鉄の板を切ったり溶接したりしてつくったもののようで、なかなか荒々しい。
 作者は「溶接はどんどん変化するし現象がおもしろい」と述べている。
 もう一つは、橋本真之「果樹園―果実の中の木もれ陽、木もれ陽の中の果実」(1978−88年、銅版、鍛造、溶接)で、とても大きな作品で、タイトルに示すような様々な果実というよりは、異様な物体が増殖しているように自分には見えた。鍛造で丁寧につくった一つ一つの果実を溶接でつなげたもののようだ。
 それにしても、21世紀を展望する工芸14人のうちに溶接が2人もいるというのは、あまり意味のない比較だろうが、溶接アートの世界がますます広がっていくようで何かしらおもしろかった。

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(留守玲「潜熱さしひびき」) 

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