秋葉原日記 (ライブラリ)

宮部みゆき『楽園』

 人気女性ミステリー作家による話題の新作。といっても、昨年夏の刊行で、発売されてすぐに購入してはいたのだが、なぜかこれまで読んでいなくて、このたびの年末年始休暇に読んだのだった。単行本上下2巻の長編だったが、休日にくつろぎながら一気に読み終えることができた。
 ミステリーだからストーリーを詳しく紹介することは避けるが、フリーライターである前畑繁子のところへ、「死んだ息子のことを調べて記事にして欲しい」との依頼人が訪ねてくる。それは、息子の死に不審なことがあるということではなくて、息子は超能力者だったようだというのである。
 息子はたくさんの絵を描いていたのだが、それらはある社会事件をあたかも「透視」していたかのような内容だった。
 超能力などあり得ないとする前畑は、事件と絵との客観的事実を探しに関連を調べていく。
 次第に事実が明らかとなり、新たな謎が深まってくる。そしてやがて驚愕の結末へと向かう。
 まあ、ざっとこんな内容だが、相変わらず文章はやさしくて読みやすいし、リズムもよくてすいすいと読み進める。
 難しいレトリックがあるわけでもないし、深い謎解きが隠されているわけでもないが、エンターテイメントとして充分楽しめる。ストーリーテラー宮部らしい作品だろう。
 なお、主人公前畑繁子は、『模倣犯』以来9年ぶりの登場である。ただし、前作を読んでいる必要はまったくない。
(文芸春秋刊)

rakuen.jpg


 

バックナンバーへ

お勧めの書籍