秋葉原日記 (ライブラリ)

旅の乗り納めと乗り初め

 このような言葉遣いはないのだろうが、このたびの年末年始休暇では、旅の乗り納めと乗り初めを行うことができた。
 旅の乗り納めでは、12月31日大晦日に銚子電気鉄道に乗って犬吠埼に行ってきた。
 銚子電鉄は、銚子−外川間6.4キロ、駅数10の典型的な小規模ローカル私鉄である。たびたび経営危機に見舞われていて、保線費用の捻出にも苦労しているほどだ。いつ廃線になってもおかしくない状況が続いている。
 銚子駅は独自の駅舎も改札も持たなくて、JR駅2・3番線ホームの端っこに間借りしたように小さなホームがくっついている。そうとうにくたびれた年代物の列車1両がほどなく発車した。
 銚子に来るまで乗り継いできた成田線・総武本線もそうだったが、大晦日という情緒はどこにもなくて、銚子電鉄の車中も、地元の人々と観光客が半々という、普段の休日のような雰囲気だ。
 ごとごとと大きく揺れながら走ること10数分。終点の一つ手前犬吠で乗客の大半が降りてしまい、終点まで乗っていたのは鉄道ファンらしき者数人だけだった。
 外川は、木造の小さな駅舎がぽつんとあるだけの寂しい終着駅で、すぐ折り返した。
 帰途は、犬吠で途中下車し犬吠埼へ寄った。駅から歩いてわずか7分ほど。快晴の透き通るような青い空の中に白堊の美しい灯台がすっくと立っていた。灯塔に昇ると240度の眺望が開け、水平線が丸く見えた。風が強かった。
 一方、旅の乗り初めは4日だった。
 東武鉄道で鬼怒川から野岩鉄道、会津鉄道へと、日本列島の背骨のようなところを抜けた。浅草から会津若松までが4社線235.8キロの長大区間である。
 新藤原で野岩鉄道線に入ったあたりから吹雪となり、車窓はどこまでも一面の雪景色が続いた。
 車中は、年を越してからの遅めの帰省なのか大きな荷物を持った客が数人いるだけでのんびりしたものだが、こちらはいい年配の者、正月早々一人ぼんやり窓外を見ているなどというのも気恥ずかしいといえば言える。
 途中、野岩鉄道と会津鉄道の接続駅である会津高原尾瀬口で下車し、駅前の温泉に立ち寄り湯をした。源泉掛け流しの風呂は湯量も多く、湯加減も43度ほどとまずまずの熱さで、雪景色を見ながらゆっくり温まった。湯上がりに飲んだ生ビールが格別だった。
 会津高原からは会津鉄道、会津若松、郡山を経由して帰途についた。
 年末と年始にそれぞれぶらり鉄道ひとり旅を行ってのんびりすることができた。
 ただ、この大晦日などのひとり旅は、経験上、十分な根回しに注意が必要なことがわかっている。これが男の所帯持ちならばなおさらで、これを怠ると、女房殿の眉がつり上がること必定である。
 そうならないためには、あらかじめ大掃除などにも積極的に協力し、男手の必要な作業は片付けておくことが肝要で、あとは「ごろごろしていてはじゃまになる」とでも言った雰囲気を作り上げてしまえばこっちのもので、どこへ行こうが勝手ということになる。

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(吹雪のなか近づく列車も煙るほど。会津高原尾瀬口駅で) 

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