秋葉原日記 (ライブラリ)

佳山マヤ&セシャドリ・シータラーマン『インドレッスン』

 本書は、九州工業大学名誉教授加藤光昭先生からご紹介いただいた。
 著者の佳山さんは九工大の卒業生で金属工学を専攻した。卒業後もしばらく母校に勤めていたが、現在はGanesha材料&環境Links有限責任事業組合の代表となっていて、材料と環境の関わりなどについて市民向けの普及活動を展開している。
 また、共著者のシータラーマン氏は、インド出身、インド科学大学院で博士号を取得、現在はスウェーデン王立工科大学教授。専攻は材料工学。この間、九工大の招聘で来日した経験があり、親日家。
 「次はインドだ!」と言われる如く、インド経済の急成長は、わが国ビジネスマンにとっても最大関心事の一つ。
 しかし、インドと一口に言っても、カースト制度、数学、カレー、IT頭脳などのキーワードが思い浮かぶくらいで、インドには一度きりだが行った経験のある自分としても、男性は浅黒い肌と神秘的な眼に長身で紳士的な立ち居振る舞いの印象が強いくらいで、不思議の国であることには今も変わらない。
 これは、著者の佳山さんも同様だったようで、佳山さんが同僚だったシータラーマン氏にインドについて「なぜ?なぜ?なぜ?」と問いかけ、シータラーマン氏が「Talk,talk and talk」と対話を促した――そのやりとりが佳山さんのインドレッスンノートとなり、そのノートがベースとなって本書が誕生したということらしい。
 日本人にとってインド理解でもっともやっかいな、カースト制度のことやベジタリアンのことなどがわかりやすく、かつ粘り強く解説されている。
 しかし、本書を読んでもっとも共感したことは、インドに関する理解が深まったということもさることながら、佳山さんもシータラーマン氏もお互いの文化について尊敬し、真摯に理解し合おうという姿勢がはっきりしていることで、なかでも、のめり込まず、突き放しもせず、皮肉らずという、それぞれの文化に対する間の取り方が「科学者的距離感」とでも言うように好ましかった。
(海鳥社発売)

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