2016/04/12

産報ブックレット創刊

 ブックレットとは小冊子のことだが、出版業界では一般の書籍のように表紙がありページものの本で、判型が小さくページ数も少ないものを指しており、代表的なものに岩波ブックレットなどがある。
 産報ブックレットは、革新の激しい技術の解説をすばやく行うためのシリーズで、このため判型はA5と小さくページ数も60ページ程度におさえられており、アップデートな今日の状況に対応できることをコンセプトにしている。定価も800円程度であり、気軽に手に取ることができる。
 創刊にあたってシリーズは2冊ほぼ同時刊行されている。
 1冊目が中田一博著『マルチマテリアル時代の接合技術』で、「異種材料接合を用いたものづくりとのサブタイトルが付いている。
 異種材料の接合は、自動車の軽量化等で注目される極めて今日的なテーマであり、著者は大阪大学接合科学研究所長を歴任するなど異種材料接合が専門。言わばわが国最高権威による解説となっており、基礎から今後の展望に至るまで最新の知見が盛り込まれている。
 本書で中田教授は、例えば車体の軽量化において超高張力綱、アルミニウム合金やマグネシウム合金からCFRPなどと広がっているマルチマテリアル化がキーワードだとし、そのマルチマテリアル化を実現するためには異種材料の接合が必須となるとしていて、具体的には金属材料同士の接合や金属+CFRPの接合について事例を示しながら展開している。
 本書の記述は、設定されたテーマに答えるように進んでおり、専門外の読者にも容易に読み込むことができるようになっているのが特徴で、最先端のガイダンスとして最適の一冊となっている。
 一方、2冊目は清水透著『金属3Dプリンティングにできること』で、副題は「世界に一つだけのものづくり」。
 著者は産業技術総合研究所上級主任研究員で、専門は塑性加工。現在は多孔質材料、金属積層造形技術が中心研究課題。
 世界的にも現在最もエキサイティングなこのテーマについて、3Dプリンティングが登場してきた背景や、注目されるようになった魅力を初めに述べた後極めて注目される内容がやさしく解説されている。
 第1章3Dプリンティングの基礎知識(3Dプリンティングとは、3Dプリンティング技術の種類と特徴、3Dプリンティングに必要なデータを作ってみよう)、第2章金属3Dプリンティングにできること(どのようなものが作れるか、各分野への適用)、第3章知っておきたい金属/セラミックスの3Dプリンティング(3Dプリンティングの2つの方向ほか)、第4章直接溶融造形法をより深く知ろう(おもな出来事、エネルギー源について、パウダーベッドフュージョンの技術課題)、第5章金属3Dプリンティングの現状と製品動向(金属の直接溶融造形装置とその製品、機械加工とのハイブリッド化)などで構成されていて、目次を見るだけで本書の魅力が手に取るようにわかるし入門書として最適だ。
 また、本書にはところどころにコラムが挿入されていて、「3Dプリンティングの歴史」「最初の発明者」「ティッカーシンボルDDD」などとあって読み進むに楽しくなるし、うんちくも貯まろうというもの。
(いずれも産報出版刊)


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