2016/03/31

下諏訪

 先日の飯田線の旅では、豊橋から延々6時間半もかけて辰野まで乗り通したあとは、そのまま岡谷を経て下諏訪に宿を取った。中央本線は岡谷、下諏訪、上諏訪と続いているのである。いずれも諏訪湖畔である。
 翌日は中央西線で名古屋へ出るつもりだったが、宿泊はどこにしようか、岡谷、下諏訪、諏訪、さらにいっそ松本にしようか思案したあげく下諏訪に落ち着いた。
 下諏訪は町自体は前後の岡谷や諏訪よりも小さいが、下諏訪には温泉があり、諏訪大社にも近い。
 夕方、ホテルにチェックインしてすぐに共同浴場に行った。4、5軒あるようだが、ホテルで最も熱い湯はどこか尋ねて紹介されたのが菅野温泉というところ。ホテルから10分とかからない近さだった。
 大きな湯船が一つある浴場で、先客はひとりだけだった。土曜日の夕方6時頃だったのだが。熱くてとてもいい。44度くらいはあったか。しかし、これは身体が冷えていたからで、温まってからは43度ほどに思われた。源泉温度は56度とあった。いずれにしても熱い湯が好きな私としてもとてもよい湯加減だ。なめてみたら無色無味無臭だったが、わずかに鉄分も含んでいるように思われた。
 70代後半か、先客の年配の話によると、これほど空いているのも珍しいのだと。また、この相客も熱いのが好きなそうで、温泉は熱い方がよいと。もちろん大賛成である。空いているときほど熱く感じるのだそうである。また、下諏訪にはもっと熱い共同浴場もあるのだそうで、それは残念だったが、もっとも、この方も入りきれないほどだというからどんなものだったか。
 湯上がりは居酒屋でいっぱいということになるのだが、この下諏訪は温泉街は駅の反対側湖畔にあるようで、駅周辺はあまり賑やかではなかった。
 その中で、赤提灯を見つけて入った店が大当たり。カウンターだけ10席ほどの小さな店だが満席。タイミングよく一人が席を譲ってくれた。
 60代とおぼしき女将が一人で切り盛りしているのだが、店内はとても賑やか。大半が常連のようで、それも一人客がここでなじみになったという様子。こういうのがいちばんいい。私もすぐに引っ張り込まれた。まるで、酒場放浪記のようである。
 生ビールで喉を潤したあとは酒に。亀齢を所望したのだが置いていなくて、隣の席の客に薦められるままに地酒をぬる燗でいただいた。
 肴は、初めワカサギの天ぷら。これはここ諏訪湖の名物のはず。ただ、今年は諏訪湖が結氷しなかった由。はなはだ張り合いがないといい、昔は戦車が渡ったものだったという話も出ていた。
 結局、相客が良く、酒も良く、肴も良くて当然のように飲み過ぎたが、これも旅の楽しみ。
 翌朝は、早朝6時に諏訪大社にお参りに行った。諏訪大社には上社下社4宮があるが、ここは下社の秋宮。いずれも重要文化財である神楽殿や弊拝殿があり、早朝のせいでもあったからであろうが、ゆかしさが感じられた。
 弊拝殿を囲むように御柱が四隅に1本ずつ立っていた。1本が長さ17メートル、直径も1メートルもあるのだそうで、樅の木の巨木である。なお、御柱は7年目ごとに建替えられることとなっていて、今年はちょうどその御柱祭だということだった。


写真1 諏訪大社下社秋宮。左が神楽殿、奥が弊拝殿。右端が御柱である。


写真2 共同浴場の一つ菅野温泉。観光客は利用していないようだ。


写真3 居酒屋でいただいた諏訪湖の名物ワカサギの天ぷら。

お勧めの書籍