2016/03/16

ボッティチェリ『書物の聖母』

 東京都美術館で開催されている「ボッティチェリ展」で見た。
 金やラビスラズリといった貴重で高価な材料をふんだんに使っていていかにも豪華。また、描写が丁寧できちんと描かれていて美しい。
 マリアとイエスがともに書物に手を置いていることは、どのように読み取ればよいのだろうか。イエスの最後を暗示しているのだろうか。そうだとすると、イエスの表情はあどけなさよりも、マリアの思案げな顔をいぶかしく見ているようにも思われる。
 全体にまとまりがよくほぼ完璧に近いできだろうが、ただ、私には表情は読み取れても体温は感じられなかった。これは同じルネッサンス期の同時代に活躍した、ボッティチェリより7歳年下のレオナルド・ダ・ヴィンチの聖母子像と比べても歴然としている。
 『春』や『ヴィーナスの誕生』といった親しまれている作品は出品されていなかったが、『ラーマ家の東方三博士の礼拝』や『美しきシモネッタの肖像』が展示されていて充実していた。
 主催者は『書物の聖母』を展示品中の目玉に扱っていたが、私には『ラーマ家の東方三博士の礼拝』にこそ見応えがあった。


写真1 ボッティチェリ『書物の聖母』(会場で販売されていた絵はがきから引用)

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