2016/03/15

レオナルド・ダ・ヴィンチ『糸巻きの聖母』

 江戸東京博物館で開催中の「レオナルド・ド・ダヴィンチ‐天才の挑戦」と題する展覧会で展示されていた。
 この聖母子像『糸巻きの聖母』(1501年頃)は初めて見た。現在はスコットランド・ナショナルギャラリーに寄託されているらしいが、そもそもがバクルー・リビング・ヘリテージ・トラストといういわば民間所蔵であったため、日本で公開されたのも今回が初めてだったとのこと。
 とにかく美しい。マリアは慈愛に満ちた優しさが感じられるし、イエスにも幼さよりも早くも深遠さが感じられるほどだ。
 解説によれば、糸巻きは十字架に通じ、かざした右手は、イエスを守っている動作だということだが、寓意性の意味を読み取ろうと苦労して鹿爪らしく構えるよりも、そのまま美しさに、しばし浸っているのがよろしいように私には思われた。
 この美しさは全体のぼかし具合によって見るものに印象づけているように思われる。専門的にはスフマートというらしく、『モナリザ』などにも共通している。
 レオナルドには、その『モナリザ』や『最後の晩餐』などとものすごく有名な作品はあるものの、全般に絵画作品はそう多くはなくて、聖母子画では『岩窟の聖母』と『聖アンナと聖母子』をルーブル美術館で見たことがあるだけ。
 レオナルドの作品全般でも、ウフィッツイで『受胎告知』、エルミタージュで『リッタの聖母』、ワシントンナショナルギャラリーで『ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像』などと少なくて、今回『糸巻きの聖母』を日本で見られたのは貴重な機会だった。


写真1 レオナルド・ド・ダヴィンチ『糸巻きの聖母』(会場で販売されていた絵はがきから引用)

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