2016/03/10

本谷有希子『異類婚姻譚』

 今期芥川賞受賞作。
 夫婦の顔は一緒に暮らしているうちに似てくるという話。
 結婚して4年になる夫婦。妻のサンちゃんは専業主婦。旦那は面倒くさがり屋で、家でテレビにかじりついているのが好き。子供はいない。そのうち旦那は会社へ行っているのか家でごろごろしているのかわからないような状況に。その旦那が珍しく揚げ物をするようになった。玉ねぎやエビなどと熱いうちがいいよといって次々と揚げる。
 そんなこんなで旦那は自分に似てきたようだし、「少しずつ旦那に近づいていた」とも思うサンちゃん。旦那は何時しか商店街で買い物までするようになっていた。旦那はションちゃんを真似をしていたのだろうか、旦那は私になりたかったのだろうかとションちゃんは思うようになる。
 ぼあぼあとした物語である。旦那と妻の、この世とあの世の、ボーダーというものが取り払われているようだ。果たして旦那は何に身をやつしていたのだろうか。
何のことはないのだが、読み続けてしまう。そういう魅力がある。文章がうまくてとても滑らかだ。新人とは思われない手練れさだ。
(「文藝春秋」3月号所収)


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