2016/03/09

動き出した鋼構造物製作

 満5年、毎年欠かさず行ってきた岩手県沿岸部の被災地取材。
 6回目となった今回で特徴的だったのは鋼構造物の製作が本格的に動き出していたこと。これらは、これまで復興計画の策定や生活関連対策が先行していて目立たなかったのだった。それが、今回は目に見える形で表面に出てきていた。
 まず、防潮壁。これも数種あるようだが、鋼構造関連ということでは、鋼管杭を用いたもの。ダウン・ザ・ホール工法が一般的だが、基礎に鋼管杭を打設し、その上に桁を渡し、桁の上に防潮壁を積み上げるというもの。
 使われる鋼管杭は直径800ミリ、肉厚10ミリ程度。これらは場所によって異なるが、防潮堤の高さも平均海面から10メートル程度。打ち込む長さも10メートルや20メートルになる。鋼管杭と鋼管杭は現場で溶接されていた。
 水門工事も盛んに行われている。防潮壁に合わせて水門も新たなものがつくられるからである。防潮堤と水門は市町村の計画を集計すると、134カ所にも上り、このうち完成したのはまだ20%にも満たなくて、工事は今後3‐4年も続くとみられている。
 鋼構造物で巨大なものといえば、湾口で防波堤となるケーソンもその一つ。釜石湾や大船渡湾で設置されることとなっていて工事が進行してる。
 これにも形には数種あるようだが、一つには一片が30メートルもの鋼製ボックスを連結し積み上げていく方式。鉄製のケーソンに石や砂を詰めて海底に埋めていくという。
 現地で目立つのは道路工事。それも復興道路と呼ばれる自動車専用道路の建設。久慈北、宮古田老、山田宮古、吉浜釜石などで構成される三陸沿岸道路の工事がたけなわだ。これに宮古盛岡、釜石花巻といった横断道も加わっている。
 谷を開きトンネルを掘って行くわけだが、このたびの復興道路で建設されるトンネルの本数は何と40本にも上るらしい。
 トンネル工事で重要な資材が炭酸ガス。排水の中和に使われるようで、現場によっては、1日あたりボンベで30‐40本、LGCで5‐6本にもなるらしい。地元の溶材業界が対応に追われていた。
 当然、橋梁工事も盛んだが、こうした鋼構造物関連工事が始まったのはせいぜいこの1、2年のこと。これまでは都市計画の策定に時間が取られ、生活関連が先行していたので目立たなかったのだが、やっと動き出したという状況だ。


写真1 一斉に進められている防潮壁の建設。写真は基礎となる鋼管杭打設の模様。


写真2 完成した防潮壁。場所によって異なるが、高さは平均海面から10メートルほど。


写真3 鋼製ケーソンの窓につけられる蓋。重さは数トンにもなる。佐々木鉄工所(宮古市)で。

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