2016/02/25

野口毅+藤岡洋保『ライトハウス』

 副題に「すくっと明治の灯台64基」とあるように、明治時代にわが国に建築された灯台が美しいカラー写真と短い文章で紹介されている。写真野口毅、文藤岡洋保。
 とにかく写真が美しい。灯塔を中心とする灯台の外観、あるいは灯台内部。海上からとらえたものもあるし、灯台が光を放っている夜間というものまである。時間をかけてじっくりと撮影したようだし、大半が晴れた日に撮影したもののようで、雨や雪というものはほとんどない。だから、白い灯台が青空に映えている。
 ここに掲載されている灯台は、海上保安庁が設定している、いわゆる保存灯台と呼ばれるものであろう。歴史的価値などによりABCD4ランク付けされ、必要に応じ修理するなどして保存に努めているものだ。
 私は岬好きで、日本全図程度の大きなスケールの岬は大概踏破していて、岬には灯台のあることが多いから、日本の有名な灯台は随分と訪ねている。
 従って、私がかつて訪ねた灯台も数多く紹介さ入れているが、しかし、未踏のところの方が多い。
 そういう中で、この美しい写真を見て改めてそそられた灯台ということでは、神子元島灯台、面高白瀬灯台、水ノ子島灯台などということになる。選んでみて気がついたが、これらはいずれも人の住まない小さな島に立っているものばかりで、船でも仕立てなければ近寄れないところばかりだった。何しろ私は岬へは行けるところまでは鉄道で訪れることが大半なのである。
 ところで、本書の読者対象はどういうあたりにあるのだろうか。
 つまり、写真には文章が添えられているのだが、これが短くて物足りない。せいぜい22字×9行程度。しかも、内容が灯台の工学的説明に終始していてあまりにも固い。
 また、文章は和英併記されているのだが、これの意図がわからない。英文で表記する積極的理由が見当たらなかったし、英文のスペースをもっと日本語の紹介文に当てて欲しかった。座標など基礎データも少なかったことだし。
 この編集方針が写真にも影響したのか、素晴らしい写真が多くて見応えがあるのだが、惜しむらくは紀行風の情緒にはやや薄くて、灯台そのものの説明調になっていた。
(バナナブックス=トランスビュー刊)


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